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派遣契約を更新しないときの会社側の理由と伝え方を詳しく解説

派遣契約は、派遣先企業・派遣元企業(人材派遣会社)・労働者の3者が関わる複雑な契約です。労働契約法や労働基準法を遵守する必要があり、派遣契約を更新しない場合の理由や伝え方には十分に気を付ける必要があります。

当記事では、派遣契約を更新しないときの会社側の理由と伝え方について解説します。派遣契約を更新しないときは、社員への伝え方も大切です。派遣契約更新をトラブルなく終えるためにも、ぜひご一読ください。

1.派遣契約の基本情報

派遣契約の更新には、法律や労働者の生活が関わっています。派遣契約の更新は、契約についての基本を知った上で行うことが大切です。

ここでは、派遣契約と契約更新に関する基本情報を解説します。

1-1.派遣契約の関係性

派遣契約は、派遣先企業・派遣元企業(人材派遣会社)・労働者が関わる契約であるため、3者の関係性を把握しておく必要があります。

派遣先企業は、派遣会社に対して費用を支払い、人材を派遣してもらう契約を結びます。派遣先企業と派遣会社の間で成立するのが、労働者派遣契約です。

一方、労働者も派遣会社と契約し、派遣社員として派遣会社から賃金の支払いや福利厚生などを受けます。選考・配置といった就業に必要な手配や、雇用・解雇に関する決定を行うのは派遣元企業です。派遣社員と派遣会社の間には、雇用関係が成り立っています。

派遣先企業と派遣社員の間には、雇用契約は成立していません。派遣先企業は派遣社員に対して指揮命令権を持ち、業務の遂行に必要な指示や労働時間の管理などを行えます。ただし、派遣先企業には、次の権限はありません。

  • 人材の選考
  • 就業場所の異動
  • 昇給・減給
  • 労働者本人に対して、契約更新・終了について直接意思確認する行為

派遣先企業は派遣社員に対して、ほとんどの人事権を行使できない点が、直接雇用契約と異なる点です。

1-2.派遣契約更新のルール

派遣契約の更新は、労働契約法や労働基準法に従って行う必要があります。下記では、派遣契約に関する代表的なルールである「無期転換ルール」と「3年ルール」を解説します。

無期転換ルール

派遣社員の派遣期間が通算5年を超えた場合、通常期限の定めがある派遣契約を無期労働契約に転換できるルールです。たとえば、1年更新の派遣社員であれば、5回目の更新で契約を切り替える権利を得られます。

ルールの適用には、派遣社員側から派遣会社に申請する必要があります。申請があった場合、派遣会社は申請を拒否できません。

3年ルール

同一の派遣社員が、3年以上同じ組織で働けないというルールです。ここで言う組織とは企業ではなく、部署や課といった部署のことです。同じ企業の異なる部署に派遣された場合、3年ルールの年数のカウントはリセットされます。

同じ組織で3年以上雇用するには、所定の手続きが必要です。また、無期労働契約の場合や一定の条件を満たしている場合、3年ルールによる制限を受けません。

これらのルールは、派遣社員を派遣切りなどから守り、キャリア形成を助けるためにあります。トラブルや法令違反を避けるためにも、ルールに対する理解を深めておきましょう。

出典:厚生労働省「派遣で働く皆様へ」

出典:厚生労働省「無期転換ルールについて」

1-3.派遣契約を更新しないときに認められる理由

派遣契約の更新時には、派遣先企業側から契約を更新しないと判断しても構いません。派遣先企業から契約終了を申し出ることを「雇止め」と呼びます。ただし、派遣先企業が契約終了を申し出るには、契約期間の満了とは別に一定の理由が必要です。

下記に、派遣契約を更新しない理由として認められる例をまとめました。

  • 担当業務の終了・中止
  • 経営不振
  • 事業縮小
  • 業務遂行能力が不十分
  • 職務命令違反
  • 勤怠の不良(無断欠勤・無断遅刻など)

派遣先企業が契約を更新しない理由には、派遣先の都合と派遣社員の能力・態度などの問題が考えられます。個人のスキル不足や態度に原因があっても、合理的な理由でないと判断される場合、更新しないのは違法とされ、契約を終了できません。

出典:厚生労働省「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」

2.派遣契約を更新しないときの伝え方

派遣契約を更新しない方針で動く場合、相手への伝え方も大切です。伝え方によっては、トラブルに発展する恐れがあります。

派遣契約を更新しないときは、次の点に注意して更新しない旨を伝えましょう。

2-1.派遣社員を評価する

派遣会社から派遣社員の評価を求められた場合、派遣先企業は求めに応じる必要があります。これは、派遣社員を守る取り組みの一環として、「同一労働同一賃金」実現に向けて労働者派遣法が改正されているためです。

出典:厚生労働省「派遣先の皆さまへ」

非正規労働者の不合理な待遇差をなくすためには、派遣先企業からの公正な評価が必要です。契約の終了を伝える際には、評価を行って派遣会社に協力しましょう。

2-2.派遣社員に感謝を伝える

契約最終日までの業務や引継ぎなどを円滑に進めるためには、派遣先企業から派遣社員に感謝を伝えることが大切です。派遣社員には、契約を更新しない旨が派遣会社を通じて伝えられます。その際、派遣会社からは、これまでの貢献に対する感謝や「残りの期間もよろしくお願いします」といった気持ちを伝えるのが一般的です。

ただし、契約終了の通知がまだ派遣社員本人に契約終了が伝わっていない時点で感謝を伝えると、トラブルの原因になることがあります。契約終了の旨が伝わっているかどうかを派遣会社に確認し、伝えるタイミングを慎重に見計らいましょう。

3.派遣契約を更新しないときの注意点

派遣契約を更新しない方針で動く場合、派遣先企業は注意すべきポイントがあります。注意を怠ると、トラブルだけでなく、法令違反となる恐れも考えられます。

派遣契約を更新しないときは、次の点に注意しましょう。

3-1派遣契約を更新しないことが認められるか確認する

派遣契約を更新しない理由は、経営不振といった派遣先企業側の事情から、派遣社員の能力・態度によるものまでさまざまです。理由によっては、契約を更新しないことが認められない場合があるため、更新しない理由が正当であるかを必ず確認しましょう。

労働契約法第19条では、「客観的に合理的」かつ「社会通念上相当である」場合にのみ更新しないという判断が認められると定められています。

出典:e-Gov「労働契約法」

第19条の条文を満たさない理由の場合は、更新しないという決定は無効とされます。特に派遣社員個人の能力や勤務態度を理由にする場合は、問題の程度や改善の有無などにも着目しましょう。

3-2.証明書の発行を求められる場合がある

契約を更新されなかった派遣社員が、派遣先企業に対して退職した旨を証明する書類を請求するケースがあります。退職を証明する書類は、失業保険の受給に必要です。また、派遣社員が契約の更新がなかった理由の明示を求めて書類を請求する可能性もあります。いずれの場合でも、請求があれば対応しましょう。

退職を証明する書類には、「退職時証明書」「雇止め理由書」などがあります。特に退職時証明書は、労働基準法第22条にて、発行を請求された場合は派遣先企業が作成・交付する義務があると定められています。

出典:厚生労働省「労働基準法」

4.派遣契約を更新しない連絡はいつまでに伝える?

派遣契約を更新しない場合、派遣先企業は原則として契約終了の30日前までに派遣会社に連絡しなければなりません。これは。派遣会社から派遣社員に対して、30日前までに派遣契約終了の予告を行う必要があるためです。派遣先企業は、派遣会社からの予告に間に合うように、1か月から数か月前には契約終了の連絡を行うようにしましょう。

派遣社員の契約更新回数と雇用期間によっては、予告時期が異なります。派遣会社から30日前までに予告が必要なケースは、契約を3回以上更新し、派遣期間が1年を超えている派遣社員に対してのみです。更新が3回未満で勤務期間が1年未満の場合は、30日前までに通達する必要はありません。

ただし、連絡の遅延は派遣会社との関係悪化の原因となる可能性があります。更新回数や勤務期間にかかわらず、早めに連絡することが大切です。

まとめ

派遣契約を更新しない場合、契約満了以外に別途更新しない理由が必要です。担当業務の終了・中止や経営不振、事業縮小といった理由が認められるものの、合理的な理由でないと判断される場合、更新しないのは違法とされ、契約を終了できません。

派遣契約を更新しない時は、相手への伝え方も意識する必要があります。派遣先企業から派遣社員の評価を求められた場合は応じ、業務や引継ぎなどを円滑に進めるために派遣社員に感謝を伝えることが大切です。