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外国人技能実習制度とは?技能実習生の受入れ方法を分かりやすく解説

外国人技能実習制度について、人手不足の解消が目的と認識している人は少なくないでしょう。正しくは人材育成を通じて開発途上国へ技能・知識を移転し、国際協力を推進することが目的です。

政府は現行の外国人技能実習制度を廃止し、2024年以降に新たな制度へ移行するとしています。

当記事では、外国人技能実習制度の概要と企業が技能実習生を受け入れるメリット、受け入れの方法・流れを解説します。さらに技能実習の現状と課題についても触れます。技能実習生の受け入れを検討している企業や採用担当者の方は、ぜひお役立てください。

1. 外国人技能実習制度とは

外国人技能実習制度とは、開発途上国などに居住する外国人を日本で一定期間受け入れ、技能実習を通じて人材育成・技能移転を図る制度です。技能実習生の母国に知識・技術を移転し、国際貢献につなげることを目的としています。

技能実習生は、入国年数によって下記の通りに在留資格が付与されます。

入国年数在留資格
入国1年目技能実習1号
入国2・3年目技能実習2号
入国4・5年目技能実習3号

技能実習1号から2号へ、また2号から3号へと移行する際は、所定の試験に合格する必要があります。

出典:公益財団法人 国際人材協力機構「外国人技能実習制度とは」

出典:厚生労働省「技能実習制度 運用要領」

2023年4月現在、政府は現行の外国人技能実習制度を廃止し、新たな制度への移行を進めています。新たな制度は労働力確保・人材育成を目的とすることが想定されており、要件も細かく変更される予定です。正式な変更は2024年以降とされています。

出典:NHK「「技能実習制度を廃止 新制度へ移行を」政府の有識者会議」

出典:日本経済新聞2023年4月10日付「技能実習「廃止」提言へ 政府会議、外国人材確保に転換」

出典:毎日新聞2023年4月10日付「「技能実習廃止し新制度創設」 政府有識者会議たたき台」

1-1. 企業が技能実習生を受け入れるメリット

企業が技能実習生を受け入れることには、主に3つのメリットがあります。

企業内の活性化が期待できる
技能実習生は技能の習得に意欲的な若者が多い傾向にあります。高い志を持つ技能実習生を受け入れることで従業員全体の意識向上につながり、企業内の活性化を実現できるでしょう。
安定した人材確保ができる
技能実習生は技能実習計画・雇用契約に基づき、原則3年間・最長5年間の雇用ができます。在留期間に上限があるものの、安定した人材確保ができる点がメリットです。
グローバル化につなげられる
技能実習生の受け入れを通じて、送り出し国との交流が生まれます。将来的に海外への事業展開などを計画している企業は、グローバル化のきっかけを掴めるでしょう。

なお、技能実習生の受け入れ人数(人数枠)は、受け入れる技能実習生の在留資格と、企業の常勤職員総数で決まります。技能実習1号の場合、受け入れ人数は原則として下記の通りです。

企業の常勤職員総数受け入れ人数
30人以下3人
31~40人4人
41~50人5人
51~100人6人
101~200人10人
201~300人15人
301人以上常勤職員総数の1/20

出典:法務省「外国人技能実習制度について」

2. 技能実習生の受け入れ方法

技能実習生を受け入れる方法には「企業単独型」と「団体監理型」の2種類があります。2021年末時点では企業単独型での受け入れが1.4%、団体監理型での受け入れが98.6%であり、団体監理型のほうが割合として多い傾向です。

出典:公益財団法人 国際人材協力機構「外国人技能実習制度とは」

以下では企業単独型と団体監理型の概要や特徴を紹介します。

2-1. 企業単独型

企業単独型は、日本の企業が海外の関係会社や取引先企業の職員を受け入れて、技能実習を実施する方法です。

企業単独型で職員の送り出しをする「海外の関係会社や取引先企業」は、下記の条件をいずれか満たす必要があります。

  • 日本企業が海外に展開している支店・子会社・合弁会社などである
  • 日本企業と引き続き1年以上の国際取引の実績、もしくは過去1年間に10億円以上の国際取引の実績がある
  • 日本企業と国際的な業務提携を行っている事業所であると、法務大臣と厚生労働大臣が認めている

出典:公益財団法人 国際人材協力機構「外国人技能実習制度とは」

出典:厚生労働省「技能実習制度 運用要領」

企業単独型は、海外での事業展開や海外企業との取引を行っている企業でなければ選べません。受け入れ時の手続きをすべて企業が独自に行う必要があるなど、団体監理型と比べて実施が難しい方法です。

2-2. 団体監理型

団体監理型は、事業協同組合の中小企業団体や商工会などの営利を目的としない監理団体が技能実習生を受け入れる方法です。監理団体の加盟企業が技能実習生と雇用契約を結び、技能実習を実施します。

出典:公益財団法人 国際人材協力機構「外国人技能実習制度とは」

出典:厚生労働省「技能実習制度 運用要領」

団体監理型は、候補者の選定や受け入れ時・受け入れ後のフォローを監理団体が行ってくれるため、受け入れ企業にかかる負担を抑えられる点が特徴です。海外とのつながりが少ない企業も利用しやすく、受け入れ企業は技能実習の実施に専念できるメリットがあります。

3. 技能実習生の受け入れから帰国までの流れ

企業が技能実習生を受け入れてから、技能実習を実施して実習生が帰国するまでの流れを解説します。

1技能実習生の受け入れ
企業単独型は海外の企業から、団体監理型は監理団体を通して技能実習生を受け入れます。企業は実習開始より前に技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構へと申請します。

2技能実習(1年目)の開始

技能実習1号の技能実習生に対し、技能の習得を目的とした技能実習をします。原則として最初の2か月間は座学による講習を行い、残りの期間は実習を実施する流れです。

受け入れ企業は、技能実習2号用の技能実習計画の作成・申請や「技能検定基礎級」の受検申請も行います。1年目の技能実習修了までに基礎級技能検定を実施し、合格者の在留資格を技能実習2号へと切り替えます。

3技能実習(2年目・3年目)の開始

技能実習2号の技能実習生に対し、技能の習熟を目的とした技能実習を2年間実施します。

受け入れ企業は、技能実習3号用の技能実習計画の作成・申請や「技能検定3級」の受検申請も行います。3年目の技能実習修了までには、3級技能検定を実施する必要があります。3年目の技能実習修了後は技能実習生が一時帰国するため、帰国準備の支援をします。

4技能実習(4年目・5年目)の開始

技能実習生や受け入れ企業が一定の要件を満たす場合は、技能実習生が技能実習3号を取得し、企業は4年目・5年目の技能実習を実施できます。4年目・5年目の技能実習は、技能の熟達を目的とした内容です。

受け入れ企業は「技能検定2級」の受検申請を行い、5年目の技能実習修了までに2級技能検定を実施します。

5技能実習生の帰国
技能実習を修了した技能実習生は帰国するため、企業は帰国準備の支援をします。

なお、実習期間中には監理団体や外国人技能実習機構による指導・監査があります。

出典:厚生労働省「技能実習制度 運用要領」

出典:厚生労働省「技能実習生等向け技能検定の概要」

4. 技能実習の現状と課題

外国人技能実習制度は制度設計の見直しが進められているものの、2023年4月現在も実施されています。しかし、技能実習の現状は良好であるとは言えず、多くの課題もあります。

まず、直近5年における技能実習生の人数は下記の通りです。2019年をピークに、2020年・2021年は減少傾向にあります。

2017年2018年2019年2020年2021年
274,233人328,360人410,972人378,200人276,123人

出典:厚生労働省「外国人技能実習制度の概要と適正化に向けた課題等」

技能実習生の人数が減少した要因の1つが、技能実習制度の社会問題化です。実習実施者である受け入れ企業や監理団体が法令違反をするケースが多く、賃金関係・労働時間・作業の安全基準といった労働環境のトラブルが発生しています。

また、技能実習生の失踪者増加も問題です。2021年には7,167人の技能実習生が失踪したとされており、失踪した技能実習生による不法就労も懸念されています。

出典:厚生労働省「外国人技能実習制度の概要と適正化に向けた課題等」

多くの課題がある中で、技能実習を実施する企業が行うべき取り組みを2つ紹介します。

● 優良な監理団体を選ぶ

団体監理型で企業が受け入れを依頼する監理団体の中には、技能実習生に仕事の実態を伝えなかったり、悪質な送り出し機関と契約していたりするケースがあります。悪質な監理団体は避け、優良な監理団体に技能実習生受け入れを依頼しましょう。

● 社内の不正行為排除に努める

実習先の企業において、技能実習生を不法な低賃金で働かせたり、職場内での暴力が行われていたりするケースがあります。不当な扱いは行政処分や技能実習生の失踪につながるため、社内の不正行為排除に努めることが大切です。

まとめ

外国人技能実習制度は、国際貢献につなげることを目的とした制度です。外国人を日本で一定期間受け入れて、人材育成・技能移転を図ります。

企業が技能実習生を受け入れることで、企業内の活性化やグローバル化がにつながるというメリットがあります。技能実習生を企業に受け入れる方法は「企業単独型」と「団体監理型」の二通りがあり、割合は2021年時点で団体監理型のほうが多い傾向です。

技能実習生の人数は2019年をピークに減少しています。企業が技能実習を実施する際は、監理団体選びや社内の不正行為について注意が必要です。技能実習生との良好な関係を築くためにも外国人技能実習制度の現状を把握し、問題の改善に努めながら企業のグローバル化を図りましょう。