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リンゲルマン効果とは?発生する原因・防止するための対策も

リンゲルマン効果は、集団的な共同作業により発生する手抜きの現象です。単独で作業する場合に比べて集団で共同作業を行う場合に起こる、作業者1人あたりの生産性が低下する現象を指しています。リンゲルマン効果の発生を防ぐためには、原因を踏まえた上で適切な対策を講じなければなりません。

この記事では、リンゲルマン効果の意味について、傍観者効果との違いを踏まえて詳しく解説します。また、リンゲルマン効果が発生する原因やその発生を防ぐための対策についても説明するので、ぜひ参考にしてください。

1. リンゲルマン効果とは?

リンゲルマン効果とは、集団での共同作業で起こる「社会的手抜き」であり、フランスの農学者であるマクシミリアン・リンゲルマンによって提唱された理論です。1人で作業する場合と比較して、共同作業の場合には、参加者が増えるほど1人あたりの生産性が下がることを意味します。

リンゲルマン効果は当事者が「手を抜こう」と意識しているかどうかに関わらず起こります。肉体的なパフォーマンスではもちろん、認知的なパフォーマンスでも見られる現象です。

具体例として、大人数でのミーティングにおいて、「他の出席者が意見を出すだろう」と自身の思考を自然と止めるといった現象が当てはまります。

1-1. 傍観者効果との違い

リンゲルマン効果と混同されやすい理論として、傍観者効果が挙げられます。

傍観者効果とは、集団での作業や事象に対しての当事者意識を持たず、傍観者の1人と化して行動を起こさない現象です。たとえば交通事故の現場に居合わせた際、周囲に人が多いほど自身も当事者意識を持たずに傍観者と化し、救助・通報などの行動を起こさないといった現象が該当します。

リンゲルマン効果と傍観者効果の共通点は、集団での共同作業において率先して行動を起こさないことや、「他の誰かに任せよう」という潜在的な意識があることです。一方で、リンゲルマン効果は作業人数の増加により自然と手を抜くという結果に至るのに対し、傍観者効果は意図的に行動を起こさないという違いがあります

2. リンゲルマン効果が発生する原因

リンゲルマン効果が発生する原因はさまざまです。企業などの集団においてリンゲルマン効果の発生を防ぐには、それぞれの原因についてしっかりと把握することが必要です。ここでは、リンゲルマン効果が発生する原因について詳しく解説します。

2-1. 当事者意識・責任感の欠如

当事者意識や責任感が欠如していると「他の誰かがやるだろう」という考えから自分の能力を発揮しようとしなくなり、リンゲルマン効果が引き起こされます。

大勢の集団の中では、物事に関する責任の所在が曖昧になりがちです。その結果、当事者意識や責任感が希薄になり、「自分がやろう」という気持ちを抱きにくくなります。

たとえば会社内において責任の所在が明らかでない業務を振り分けられると、当事者意識が低下して他人任せの思考になりやすい傾向です。「自分がやらなくとも責任を問われることはないだろう」といった思考がリンゲルマン効果につながり、無意識のうちに業務効率が低下します。

2-2. 集団における同調行動

リンゲルマン効果は同調行動と密接に関係しているため、他者に言動を合わせる同調行動によって集団全体のモチベーションが下がると、リンゲルマン効果が顕著に現れます。

そもそも同調行動とは、自分の意志ではなく周囲の意見・行動に合わせて自身の言動を決定することです。同調行動が起こる理由は、以下の通りです。

  • 自分の考えに自信を持てないため
  • 同調を誘う圧力を感じるため
  • 周囲に受け入れられたいため

チーム全体のモチベーションが低いと、高いモチベーションを保っているメンバーも同調行動によりモチベーションの維持が難しくなります。その結果としてリンゲルマン効果が発生し、プロジェクトに対する積極性や意欲が低下してしまいます。

2-3. 評価制度の不備による貢献意欲の低下

個人の貢献度が正当に反映される人事評価システムが構築されていないことは、貢献意欲・モチベーションの低下によりリンゲルマン効果を引き起こす要因の1つです。

高い成果を上げても報酬や昇格に反映されないと、評価システムに対する不満が募ったり、努力が報われないやるせなさを感じたりするようになります。頑張る意味を見いだせない状況では貢献意欲が下がり、優秀な人材ほどリンゲルマン効果が引き起こされやすくなります。

また、たとえ適切な評価制度が整備されていたとしても、各従業員が具体的な評価基準を知らされていないと「正当な評価がされていない」と感じる可能性もあるでしょう。

2-4. コミュニケーション不足

集団内でのコミュニケーションが不足していると、帰属意識・仲間意識が欠如することでリンゲルマン効果が発生しやすくなります。

企業をはじめとする組織への愛着や貢献意欲は、仲間同士の円滑なコミュニケーションにより良好な人間関係が築けていてこそ生まれるものです。コミュニケーション不足によって帰属意識が欠落すると、無意識のうちに怠業につながります。

また、最近ではテレワークを取り入れている企業も少なくありません。テレワークは社員同士が対面でのコミュニケーションが取りにくくなることから、リンゲルマン効果を引き起こしやすくなります。

3. リンゲルマン効果の発生を防ぐ対策のポイント

リンゲルマン効果は無意識のうちに発生する現象であるため、怠業が見られてから改善を試みるのではなく、事前に防止することが重要です。ここでは、リンゲルマン効果の発生を防ぐために有効な対策方法とそのポイントについて詳しく解説します。

3-1. 役割・責任の明確化

役割・責任の明確化によって「他の誰かがやるだろう」という意識がなくなり、個々の本来の力を発揮しやすくなることで、リンゲルマン効果の発生を防止できます。

それぞれのメンバーの役割を明確にしておけば、責任感・当事者意識を持たせることが可能です。担当業務の役割化は義務化であるとも言えるため、怠業すれば周りに迷惑がかかるという責任感が芽生え、一人ひとりが集中して高いパフォーマンスを発揮できるようになります。

また、そもそもリンゲルマン効果は集団の人数増加によって発生する現象であることから、少数精鋭のシステムを採用するのも1つの手です。チームメンバーを少人数に抑えれば、それぞれの動きが可視化されて責任が分散するため、リンゲルマン効果の発生を防止できるでしょう。

3-2. 1on1ミーティングの実施

1on1ミーティングによって一人ひとりがしっかりとフォーカスされている実感を持てることで、リンゲルマン効果の発生を防いで意欲的に業務に取り組めるようになります。

1on1ミーティングは上司と部下とで実施する話し合いであり、目標の設定や成果・課題のフィードバック、業務に関する相談などを行います。社員に「上司から正当な評価を受けている」という安心感を与えられるのはもちろん、困り事を共有できるコミュニケーションの場としても役立つでしょう。

さらに、1on1ミーティングでは今後の課題や修正点についても話し合うため、日々の業務への姿勢を見直すきっかけにもなります。結果として一人ひとりが責任感を持って仕事に取り組むようになり、リンゲルマン効果の発生を防げます。

3-3. 評価制度の改善

評価制度の改善によって貢献度が正当に考慮されればモチベーション維持につながるため、リンゲルマン効果を防止することが可能です。

評価制度を改善する際は、評価の可視化を進めるのがおすすめです。貢献度がどのように評価・報酬につながるのかが明確になることで、評価に対する不安・不満が発生しにくくなります。

また、人数が多い職場では、従業員同士で貢献度を評価し合う「相互評価システム」を導入するのもよいでしょう。従業員がお互いの仕事ぶりや振る舞いをチェックし合うことで個々の業務に対する責任感が増し、結果として怠業が起こりにくくなります。

まとめ

リンゲルマン効果は、傍観者効果とは異なり作業者が意図的に手を抜くものとは限りません。作業者本人は手を抜いているつもりがなくても、結果的に集団的な共同作業は作業者1人あたりの作業効率を下げてしまうことがあります。

リンゲルマン効果の発生原因には、「集団における同調行動」「コミュニケーション不足」などが知られています。リンゲルマン効果の発生を防ぐためには、役割・責任を明確化し、1on1ミーティングを実施することが有効です。また、評価制度の改善によってリンゲルマン効果の発生を防げます。リンゲルマン効果の原因を押さえて、その発生を防止しましょう。