離職防止につなげる対策を5つ紹介!従業員が離職する原因・リスクも
離職防止とは、従業員の離職することを防ぐ取り組みを指します。近年は、さまざまな転職サイト・転職エージェントが登場したことにより、転職しやすい環境になっているため、業界・業種を問わず活発に人材が流動しています。
しかし、「従業員が離職することは時代の流れ」と考えている経営者・人事部の担当者は注意が必要です。離職防止に努めなかったために、企業の存続が難しくなるケースは決して少なくありません。
この記事では、離職防止に取り組まないことによるリスクから、離職防止につなげる対策までを紹介します。
目次
1.離職防止に取り組まないことによるリスク
近年、業種・業界を問わず転職・離職によって人材が流出する企業が増えています。しかし、社員の離職が相次ぐ現状を問題視していない企業もあるでしょう。
離職防止に取り組まない企業は、人材不足に陥いるだけでなく、さまざまなリスクが生じます。以下では、企業が離職防止に取り組まないことによるリスクを2つ紹介します。
1-1.悪評が世間に広まる
離職防止に取り組まない企業は、離職した従業員から「従業員の声を反映させない企業」「長く勤めにくい企業」と口コミを流される恐れがあります。元従業員が投稿したSNSの内容が拡散されることによって、悪い噂が一気に広まることも少なくありません。
こうした企業の評判・評価が悪くなるリスクのことを、「レピュテーションリスク」と呼びます。
悪評がささやかれる企業に対して求職者は、「ブラック企業なのでは?」というイメージを抱きかねません。そのため、求人募集を出しても、新卒・中途社員が集まりにくくなる恐れがあります。
1-2.企業の業績悪化につながる
離職防止に取り組まないために人材が減り続ければ、「新規事業を立ち上げられない」「既存事業の継続が難しくなる」などの理由から業績悪化につながります。
また、企業内の人材が減ると優秀な従業員に業務が偏り、業務過多が原因で優秀な従業員も離職を考える恐れがあります。優秀な従業員は、チームマネジメント・業務改善・売上貢献などにつながる仕事ができる場合が多く、転職先がすぐに決まりやすい傾向です。
優秀な人材が抜けた企業では、良いアイデアが生まれず円滑に業務が進まなくなるため、業績が悪化する可能性が高いでしょう。離職者増加による業績の変化は、すぐには現れません。そのため、気づいたときには業績を持ち直すことが困難な場合もあります。従業員の離職を防ぐためには、まず離職に至った原因を追究することが重要です。
2.【男女別】従業員が離職する主な原因3つ
従業員が離職する原因は、男女によって異なります。男女別の従業員が離職する主な原因は、下記の通りです。なお、下記の離職する原因は厚生労働省の「令和2年上半期雇用動向調査結果」から、「その他の理由」「定年・契約期間の満了」以外で割合の高かった上位3つの原因を抽出しています。
〇男性が離職する原因
- 給料などの収入が少なかった
- 職場の人間関係が好ましくなかった
- 企業の将来が不安だった
〇女性が離職する原因
- 労働条件が悪かった
- 職場の人間関係が好ましくなかった
- 給料などの収入が少なかった
男女ともに、「給料などの収入が少なかった」「職場の人間関係が好ましくなかった」ことが離職の主な原因です。
男性の場合は定年まで会社勤めをする人が多いため、企業の将来性を加味して離職する人も少なくありません。女性の場合は、「労働条件が悪かった」ことが離職する原因として挙がっており、働きやすさを重視する人が多いことが考えられます。
3.離職防止につなげる対策5つ
労働条件や勤務環境の問題が離職につながりやすいとはいえ、それだけが原因になっているとは限りません。自社に適切な離職防止策を考えるためには、まず従業員に職場に対する不満・悩みをヒアリングすることが大切です。
ここからは、離職防止につなげる対策を5つ紹介します。
3-1.長く勤められる環境に整備する
従業員の多くは、ワークライフバランスの取れた生活を送りたいと考えています。そのため、離職防止に向けて長く勤められる職場の環境に整えることが大切です。
たとえば、残業・休日出勤が当たり前になっている企業であれば、残業時間・休日出勤を減らす取り組みが有効です。すぐに残業時間・休日出勤を減らすことが困難な場合は、「〇曜日は全員定時退社」「休日出勤は隔週のみ」など、段階的に減らす取り組みから始めるとよいでしょう。また、有給休暇の取得を推進する取り組みもおすすめです。
デスクワークが中心の企業であれば、テレワーク・時差出勤の導入など、働き方を多様化することで働きやすい環境を整えられるでしょう。ただし、テレワークの導入には社内の情報が漏洩しないよう、セキュリティ対策が必要になる点に注意しましょう。
さらに、「産前・産後休暇」「育児休暇」「介護休暇」を整備すると、離職防止につながる可能性が高くなります。
3-2.社内のコミュニケーションを取りやすくする
社内のコミュニケーションを取りやすくすることも、離職防止につながります。社内のコミュニケーションが少ない場合、従業員が離職する予兆に気づけず、離職を考えている従業員を引き留めることが難しくなります。
社内のコミュニケーションを取りやすくするためには、「社内レクレーションを開催する」「部署内同士の食事会を開く」などの方法がおすすめです。新卒採用を行っている企業であれば、メンター制度を取り入れてもよいでしょう。
また、リモートワークの社員がいる企業ではチャットツールを導入し、従業員同士がコミュニケーションを取りやすい環境を整えることも大切です。社内のコミュニケーションが円滑になると、業務に対する質問・改善案が飛び交いやすくなるため、生産性向上も期待できるでしょう。
3-3.福利厚生を充実させる
福利厚生は従業員の多くが興味を示す項目です。そのため、福利厚生を充実させることで、離職防止につながる可能性があります。人気のある福利厚生の項目は、主に下記の5つが挙げられます。
- 住宅手当や家賃補助
- スポーツクラブなどの割引制度
- 昼食補助制度
- 特別休暇(誕生日休暇・記念日休暇など)
- 社員旅行補助金
住宅手当や家賃手当のように、1人当たり数万円を支給する福利厚生の導入が難しい場合、昼食補助制度・特別休暇など少ない金額でできる福利厚生であれば導入しやすいでしょう。
福利厚生は従業員によって求める内容が異なるため、社内アンケートなどを活用し、従業員の意見を取り入れることをおすすめします。
3-4.キャリアパスを明確にする
前述したように、男性のなかには将来の不安から離職を考える人もいます。そのため、従業員一人ひとりのキャリアパスを明確にすることも、離職防止に有効です。
たとえば、幅広い年齢層の働く企業であれば、先輩従業員のモデルケースを挙げつつキャリアパスを伝えると、従業員のモチベーション向上につながります。年齢層が若い企業であれば役職を用意し、ステップアップする手順を具体的に説明することがおすすめです。
3-5.スキルアップを支援する
従業員はスキルアップが図れない企業に対して、不安を抱く傾向です。また、何年も業務内容に変化がない場合、毎日の仕事がマンネリ化してやりがいが失われる恐れがあります。そのため、スキルアップを支援する環境を整えることが大切です。
たとえば、「社内研修を開く」「ワークショップを実施する」ことが、スキルアップを支援する取り組みとして挙げられます。また、マネージャークラスの従業員を対象に、マネジメントについて学べる研修に参加させることも有効です。
従業員の立場に合ったスキルアップを支援することで、部署が活性化すれば、離職防止につながるでしょう。
まとめ
離職防止による人材不足は、多くの企業がかかえる課題です。離職防止に取り組まなければ、企業の悪評が流れる・業績悪化につながるなど、さまざまなリスクにつながるでしょう。
離職する原因は男女で若干異なるものの、「給料などの収入が少なかった」「職場の人間関係が好ましくなかった」は共通しています。
離職防止につながる対策は、「職場の環境整備」「充実した福利厚生の用意」などがあります。コストが必要となる対策に取り組むことが難しい場合は、「社内のコミュニケーションを取りやすくする」「キャリアパスを明確にする」など、始めやすい項目から取り組みましょう。