アルバイトのばっくれが起きる理由4つ|未然に防ぐ方法はある?
企業経営や店舗運営を行ううえで、アルバイトの「ばっくれ」は無視できない問題です。ばっくれとは、辞めるという連絡をしないまま、突然アルバイト先に出勤しなくなるということを指します。正規の手続きを踏まずに退職することとなるため、経営者・店長にとっては頭を悩ませる出来事となるでしょう。
アルバイトのばっくれをなるべく起こさないようにするためには、ばっくれが起こる原因を把握し、未然に対策を講じることが重要です。そこで今回は、アルバイトのばっくれが起きる理由とばっくれを防ぐための方法を紹介します。
目次
1.アルバイトのばっくれが起きる理由4選
アルバイトのばっくれは、企業経営者や店舗運営者にとって頭を悩ませる問題です。ついばっくれを起こした本人を責めたくなりますが、本人に問題があることのみが原因で起こり得る問題ではありません。中には、働く環境に問題があってばっくれが起きるケースもあります。
そこでまずは、アルバイトのばっくれが起きる理由を採用前と採用後に分けて紹介します。
1-1.【採用前のばっくれ】応募した後に気持ちが変わった
採用前のばっくれでよくある理由が、「応募した後に気持ちが変わった」という理由です。応募・面接にきたアルバイトの中には、面接後に再度企業情報を細かにチェックする人もいます。
「思い返せば、求人情報と面接とで言っていることに相違があった」
「従業員からの口コミを調べているうちに、長く働けそうな職場環境ではなさそうだった」
上記のような気持ちの変化が生じることで、応募者は採用前にばっくれをする傾向にあります。
1-2.【採用前のばっくれ】気まずさを感じて連絡できなかった
自社に応募してくれる人の中には、自社以外にも数社に応募している可能性があります。複数社の面接を行う中で、少なからず応募者自身の中で「ここは自分に向いていないかもしれない」と考えることがあるでしょう。
このような場合、たとえ面接の時点で辞退することを決めていたとしても、気まずさを感じて辞退の連絡を入れることができない応募者も多々います。このように、申し訳なさを感じるがゆえに採用前のばっくれを起こしてしまうケースがあることも覚えておきましょう。
1-3.【採用後のばっくれ】辞めたいと思っても辞めさせてもらえなかった
職場によっては、「辞めたい」と伝えているにもかかわらず、何かと理由をつけて拒む社長・店長もいます。
辞めさせてもらえないという行為は、アルバイトにとって強い不満にもなりかねません。退職を希望しているアルバイトを引き止めることは、ばっくれの発生リスクをさらに加速させてしまうことが実情です。
1-4.【採用後のばっくれ】労働環境が悪い
労働環境の悪さに強い不満をもった末、どうしようもできずにばっくれてしまうケースも多々あります。労働環境が悪くなる要素には、あらゆるものが考えられます。例えば、「新人いびりをする先輩アルバイトがいる」などは代表的なケースです。
アルバイトのばっくれはついばっくれを起こした本人に問題があると考えがちですが、このように自社の労働環境に問題があってばっくれが起きることも決して珍しくありません。
2.アルバイトがばっくれた際にするべきこと
アルバイトがばっくれた際、社長・店長にはするべきことがたくさんあります。
- 本人に連絡を入れる
- 備品を回収する
- 給料を支払う
- 退職・解雇の手続きをする
ばっくれが起きた際は、上記の行動に出ましょう。なお、順番ごとに行わなければ新たなトラブルにつながる可能性があるため、必ず順番通りに行ってください。
ここからは、それぞれの行動について詳しく説明します。
2-1.本人に連絡を入れる
アルバイトが出勤日当日になっても出勤してこないこと(無断欠勤)が判明したときは、安否確認も含めてまずは必ず本人に連絡を入れてください。ばっくれだと思っていたものの、実際は交通事故や犯罪に巻き込まれている可能性もあるためです。
数回連絡を入れても当日中に連絡が返ってこなかった場合は、次のシフト日まで、もしくは数日間(2~3日程度)連絡を待つのもよいでしょう。それでも連絡が返ってこなかったら、家族の人に連絡を入れることも一案です。
2-2.備品を回収する
アルバイトのばっくれを確信したら、本人に貸していた制服や備品をすべて返却してもらいましょう。仕事で使用する制服や備品は、すべて会社の所有物となるため、ばっくれた本人がこれら備品を返却しなければ「業務上横領罪」として告発できる状態となります。特に貸し出していたものがなければ、この工程はスルーしても問題ありません。
しかし、ばっくれを起こした本人が数日経ってから素直に連絡を返してくれることは珍しいといえるでしょう。無理に電話などで連絡をとろうとせず、メールやコミュニケーションアプリを使用してばっくれに対して怒っていない旨・貸与物だけ返してほしい旨を丁寧に伝えましょう。このとき、直接の持参が難しい場合は郵送でも問題ないことを伝えると、貸していた備品がきちんと返ってくる可能性が上がります。
2-3.給料を支払う
たとえばっくれを起こしたアルバイトでも、きちんと出勤してくれていた日数分の給料は、規定の給料日までに必ず全額振り込むようにしましょう。
企業には、従業員に対して給料をきちんと支払う義務があります。ばっくれを起こした制裁のつもりで給料未払いにしたり、ペナルティとして給料の一部から罰金を差し引いたりしてしまうと、労働基準法違反となる可能性が高まります。
2-4.退職・解雇の手続きをする
ばっくれたアルバイトから、謝罪とともに退職の意思を後に告げられた場合や、連絡がとれないまま就業規則で定めた期限を過ぎた場合は、アルバイトの退職・解雇手続きを行います。ばっくれたアルバイトが社会保険・厚生年金に加入していた場合は、同時に喪失手続きも行ってください。
また、アルバイトがばっくれた後に退職の意思を告げられたケースでは、退職届の提出もお願いしましょう。退職届を提出してもらうことで、不当解雇に関するトラブルを最大限防ぐことが可能です。
3.アルバイトのばっくれを未然に防ぐ方法3つ
アルバイトのばっくれを防ぐためには、日頃から下記の行動をとっておきましょう。
- 定期的にコミュニケーションの機会を設ける
- ばっくれがもたらすリスク・デメリットを伝えておく
- 労働環境の見直しを図る
ここからは、それぞれの方法について説明します。
3-1.定期的にコミュニケーションの機会を設ける
アルバイトを含む従業員同士や従業員・店長とのコミュニケーションが円滑にとれていないような職場は、ばっくれが発生しやすくなります。
定期的にコミュニケーションの機会を設けることで、アルバイトの人たちが感じている業務上の悩みや不満も汲み取れるようになるでしょう。さらに、従業員同士で悩みや不満が共有されることにより、問題点を迅速に対処することも可能となります。
3-2.ばっくれがもたらすリスク・デメリットを伝えておく
アルバイトのばっくれを防ぐためには、対策としてあらかじめ就業規則などにばっくれをした際の対応について事細かに記載しておきましょう。
例えば、バイト先をばっくれることは「不法行為」にあたり、法律によって雇用主(バイト先)は損害賠償を請求できます。しかし、アルバイトがばっくれたことによる損害はさほど大きくなく、多額の裁判費用や手間に釣り合わないため、実際に損害賠償請求をするケースは珍しいでしょう。とはいえ、少なからずこのようなリスクがあることをアルバイトに伝えることは効果的です。
ばっくれがもたらすリスク・デメリットを伝えておくことによって、ばっくれが発生する可能性を低下させることはもちろん、実際にばっくれが起きた後に起こり得る不当解雇などのトラブル予防にもつながります。
3-3.労働環境の見直しを図る
ばっくれをなるべく防ぐためには、労働環境そのものを見つめ直し、どれほど小さな問題点でも対処することが重要です。嫌がらせとも言えるような悪質なばっくれももちろん存在しますが、劣悪な労働環境が原因でばっくれせざるを得ない状況に陥ってしまうケースも少なからず存在するためです。
前述したコミュニケーションの状況も含めて、労働基準法に遵守できているか・従業員からの不満は上がっていないかをもとに、定期的に労働環境をチェックしましょう。加えて、発見した問題にすぐ適切な対処をとることで、労働環境は地道に向上するはずです。結果として、より質の高い人材の確保・維持にもつながるでしょう。
4.アルバイトに向けた企業情報の発信も重要!
求職者よりも求人数が多い、いわゆる「売り手市場」と言われている現在では、アルバイトを含む多くの求職者が「働きたい」と思えるような企業であることが重要です。
アルバイトから求められる企業になるためには、アルバイトに向けた企業情報の発信は欠かせません。
インターネットの利用が当然となった今、自社サイトやオウンドメディアまたはSNSアカウントを活用して、「どのような事業を行っているのか」「どのような人が働いているのか」「どのような業務を担うのか」といった、求職者にとって気になる情報を積極的に発信しましょう。
ニーズのある企業情報を積極的に発信することで、応募者数の増加につながります。またこのとき、実際の情報と相違がないよう十分注意してください。事実に基づいて正しい情報を発信すれば、ばっくれが発生する可能性は低まるでしょう。
まとめ
アルバイトのばっくれをなるべく起こさないようにするためには、ばっくれが起こる原因を把握し、未然に対策を講じることが最も大切です。ばっくれが起きる原因は採用前・採用後で傾向は異なるものの、総じて悪意をもってばっくれるアルバイトはほとんどおらず、労働環境に原因があるケースも多々あります。
アルバイトのばっくれを防ぐためには、定期的なコミュニケーション機会を設けるなど、労働環境の改善につながる行動が重要です。その他にも、アルバイトに向けた企業情報の発信もおすすめといえるでしょう。
アルバイトのばっくれは、企業経営者・店舗運営者にとって無視できない問題です。ここまでの内容を参考に、ぜひアルバイトのばっくれが発生しないような労働環境を目指してください。