労働生産性とは?人事評価制度の見直しなど具体的な向上施策も解説!
近年では働き方改革により、労働時間の短縮化が進められています。しかし、労働時間の短縮により労働生産性が下がってしまうことは、多くの企業が考える懸念点と言えるでしょう。
労働生産性は、企業の利益を大きく左右する要素です。日本の労働生産性は先進国の中でも低いと言われていることもあり、労働生産性の向上に向けて何らかの取り組みを行うことが各企業の課題とされています。
今回は、そもそも労働生産性とは何かについて説明したあと、労働生産性が重要視される背景や向上のための取り組みを詳しく解説します。経営状況を改善させたいと考えている担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.労働生産性の基礎知識|計算式・種類・企業による違い
労働生産性とは、労働者である従業員1人あたり、または1時間あたりに生み出す成果を数値化したものを指します。要するに、インプットした労働に対して、どれだけのアウトプットを生み出せたかを表す基準のことです。
労働生産性は、下記の計算式で簡潔に算出できます。
成果(アウトプット)÷労働量(インプット)=労働生産性
また、労働生産性における成果は「売上・利益・付加価値」を指し、労働量は「労働者数・労働時間」を指します。算出した労働生産性の数値が大きければ大きいほど、生産性が高いとみなすことが可能です。
1-1.労働生産性の2つの種類
労働生産性には主に、「物的生産性」と「付加価値労働生産性」の2つの種類があります。
〇物的生産性
物的生産性とは、生産するもののサイズや量を基準単位として、どれだけの成果を生み出せるかを示すものです。主に製造業などで、従業員1人あたりの単純な生産効率を測定する際に用いられます。
物的生産性の計算式は、下記の通りです。
生産量÷労働量(労働者数・労働時間)=物的生産性
例えば、5人の従業員が70個の商品を4時間で生産した場合、従業員1人あたりの物的生産性は14個、従業員1人あたりの1時間の物的生産性は1.75個となります。
〇付加価値労働生産性
付加価値労働生産性とは、生産物の売上高から原材料費・外注費・人件費などのコストを差し引いて残った金額を付加価値とし、その付加価値額を基準単位としてどれだけの成果を生み出せるかを示すものです。労働者1人あたりがどれだけ付加価値のある業務を行っているかを示すことができ、利益最大化に役立つ指標となります。
付加価値労働生産性の計算式は、下記の通りです。
付加価値額÷労働量(労働者数・労働時間)=付加価値労働生産性
企業や業種によって、付加価値の捉え方は異なるため、具体的な計算方法も細かく異なります。
1-2.企業の業種・規模による労働生産性の違い
労働生産性は、企業の業種や規模によって平均値が異なり、それぞれに何らかの傾向があることが特徴です。下記は、中小企業における産業別の労働生産性をまとめたデータです。
上記を見ると、「鉱業」「金融・保険業」「電気・ガス・熱供給・水道業」「不動産業・物品賃貸業」の業界は特に労働生産性が高いことがわかります。反対に、飲食サービス業や医療・福祉業、さらに宿泊業は労働生産性が低い傾向です。
また同資料では、中小企業よりも大手企業の方が全体的に労働生産性が高いことも発表されています。
このように、労働生産性は業界や企業の規模によって傾向が異なることを覚えておきましょう。
2.労働生産性が重要視される背景
公益財団法人日本生産性本部では、OECDなどのデータに基づき、毎年日本の労働生産性データを発表しています。
2019年度では、日本における1人あたりの労働生産性が81,183ドルと発表されました。この労働生産性は、OECDに加盟している37カ国中26位となっており、労働生産性の低さが現在でも問題視されています。
日本の労働生産性の低さは、以前より問題視されていました。2019年度のデータで最も低い順位
となったことから、今後さらに労働生産性は重要視されるでしょう。
3.労働生産性を向上させるための取り組み
各企業が労働生産性の向上に取り組むことで、企業全体の利益アップや優秀な人材の確保・定着につながるなど、さまざまなメリットがあります。
労働生産性を向上させるためには、まず数値を計算して現在の業務を見直す必要があります。では、その他にどのような取り組みを行えば良いのでしょうか。最後に、労働生産性向上に有効な取り組みを4つ解説します。
3-1.人事評価制度を見直す
労働生産性を向上させるためには、人事評価制度の見直しも必要です。そもそも、従業員のモチベーションは、労働生産性の向上に最も重要な要素と言えます。
現在の人事評価制度が適切なものでなければ、従業員はモチベーションが低下し、離職の原因ともなってしまいます。結果的に採用や育成にリソースを割かなければならなくなり、労働生産性も低下するでしょう。
従業員のモチベーションを上げて、満足度・定着率を高めるためには、正当な人事評価システムの導入がポイントです。人事評価制度を見直すことにより、結果として労働生産性も向上するでしょう。
3-2.働き方改革を推進する
近年では、労働時間の短縮や柔軟な働き方を目的とした「働き方改革」が重要視されています。働き方改革を推進することで、結果的に労働生産性の向上につながります。
また、働き方改革に則って働きやすい環境を整えている企業は、優秀な人材が集まりやすい傾向です。優秀な人材を確保できれば、短縮化された労働時間の中でもきちんと成果を出すことができ、社内全体での業務効率化が期待できます。結果として、さらなる労働生産性の向上が期待できるでしょう。
3-3.業務の見える化で問題点を洗い出す
業務の見える化を行うことにより、「ムリ・ムダ・ムラ」が起きている業務を把握することが可能です。問題点を洗い出せば自ずと改善すべき部分も見え、あらゆる改善を重ねることで結果として労働生産性の向上につながります。
また、業務可視化を日々行い、都度問題点を洗い出すことも大切ですが、一度起きた問題を再度起こさないため・従業員同士のスキル平準化のためにも、マニュアルの整備や共有を行うことも重要です。
3-4.派遣・アウトソーシングを検討する
派遣・アウトソーシングも、労働生産性の向上に役立ちます。特に、直接的な利益に結び付かないノンコア業務においては、派遣・アウトソーシングなどを活用して外注化させることで、従業員は直接的な利益に結び付くコア業務に専念することが可能です。
また、派遣とアウトソーシングは混同されやすいものの、双方には明確な違いがあります。派遣は人材派遣会社からニーズに適した人材を手配してもらうサービスで、アウトソーシングは業務そのものをアウトソーシング会社に委託するサービスです。人材不足や技術不足に悩みがあるとしても、より細かな状況により適切なサービスは異なるため、どちらのサービスが自社の現状に適しているかをしっかり考えたうえで選びましょう。
ノンコア業務を外注化したい場合は、「パワーキャスト」がおすすめです。10万人以上の派遣登録者を有しているパワーキャストでは、派遣・アウトソーシングをはじめとした総合人材サービスを提供しています。労働生産性の向上に向けて、製造業・物流業・福祉介護業・事務業の派遣・アウトソーシングを検討している方は、ぜひパワーキャストにお問い合わせください。
まとめ
労働生産性とは、労働者である従業員1人あたり、または1時間あたりに生み出す成果を数値化したものです。主に物的生産性と付加価値労働生産性の2種類があり、それぞれ具体的な計算式も異なります。
労働生産性を向上させるためには、人事評価制度の見直しや働き方改革の推進、さらに業務の見える化や派遣・アウトソーシングの活用といった取り組みを行うことが重要です。
ノンコア業務に圧迫されて労働生産性がなかなか向上しないという場合は、派遣・アウトソーシングを検討してみてください。パワーキャストでは、さまざまな業界にマッチした派遣登録者を有し、各企業のニーズに適した人材の派遣・アウトソーシングを提供しています。労働生産性の向上に向けて派遣・アウトソーシングを少しでも検討しているのであれば、ぜひパワーキャストの人材サービスをご利用ください。