インターンシップ内容の決め方は?学生が面白いと感じる内容例も解説
インターンシップは企業にとっても多くのメリットをもたらします。学生が実務を経験することで、企業は将来を担う人材を早期に発掘し、採用する機会を得られます。学生のスキル、適性、職業への熱意を直接確認でき、より効果的な採用戦略を立てることが可能です。また、インターンシップは企業のブランドや文化を広める絶好の機会でもあります。
当記事では、インターンシップの現状と、どのように内容を決めればよいかについて、詳しく解説します。
目次
1.インターンシップとは
インターンシップは、学生が企業の実務を体験する制度です。実業務、研修、講義などを通じて業界や職種の理解を深めます。学生にとって仕事の実情を知る貴重な機会であり、企業には早期に学生の能力や適性を評価できる利点があります。インターンシップの制度は2000年代から広がり、現在では多くの企業が採用しています。
特に重要な変化は、2025年卒の学生から適用される新たなルールです。これまで経済産業省、文部科学省、厚生労働省の「三省合意」により、インターンシップで得られた学生情報の採用広報活動への利用は制限されていました。
しかし、規制緩和により、特定の条件下でこれらの情報を採用プロセスに活用できるようになりました。この変更は、インターンシップをより推進し、学生と企業の間の採用ミスマッチをさらに防ぐことにも寄与すると期待されています。
1-1.インターンシップの現状
マイナビキャリアリサーチLabによると、2024年卒の学生のインターンシップ参加率は87.6%、2025年卒の学生のインターンシップ参加率は89.5%です。9割近い学生がインターンシップに参加していることが分かります。
出典:マイナビキャリアリサーチLab「2025年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(中間総括)」
また、学生がインターンシップにエントリーする予定の社数は、2023年卒の学生の場合平均14.7社でした。
出典:マイナビキャリアリサーチLab「2024年卒 大学生 広報活動開始前の活動調査」
さらに、リクルートキャリアの「就職白書2023」によると、インターンシップに参加した学生のうち、2023年卒の学生の41.4%はインターンシップに参加した企業に入社予定と回答しています。
出典:就職みらい研究所 | PRODUCED BY RECRUIT「『就職白書2023』データ集」
上記の現状からも、インターンシップを導入する会社は学生に選ばれる可能性が高いと言えるでしょう。
1-2.インターンシップを導入している企業
リクルートキャリアの「就職白書2023」によると、2024年卒の学生向けにインターンシップを実施予定の企業は51.8%です。
出典:就職みらい研究所 | PRODUCED BY RECRUIT「『就職白書2023』データ集」
約半数の企業がインターンシップを導入しているという結果が明らかになっています。
多くの企業にとって、採用は大きな課題の1つであり、現在は企業が求職者を選ぶだけでなく、求職者が企業を選ぶ時代でもあります。自社のカルチャーに合った優秀な人材を採用するためには、学生にとって魅力を強く感じるような企業でなければなりません。インターンシップは、会社の魅力や会社としてのあり方を学生に対してダイレクトに伝えられる、効果的な手段の1つです。
2.学生に求められているインターンシッププログラムの特徴
学生に求められているインターンシッププログラムの特徴は、以下の通りです。
【学生が求めるインターンシッププログラムの特徴ベスト10】
複数日程の中から参加日を選べる | 53.5% |
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対面形式で開催される | 51.6% |
採用選考で有利になる | 50.6% |
冬期・春期休暇中に開催される | 45.3% |
交通費が支払われる | 39.4% |
土日祝日に開催される | 39.1% |
現場で働く社員の話が聞ける | 35.9% |
オンラインで開催される | 34.3% |
フィードバックがある | 33.5% |
見つけてから1か月以内に開催される | 27.7% |
出典:マイナビキャリアリサーチLab「2025年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(中間総括)」
最も重視されているのは、複数日程から参加日を選べることで、学生は自分のスケジュールに合わせてインターンシップを経験したいと考えています。また、冬期・春期休暇中や土日祝日に開催されるプログラムへの需要も高いです。
2-1.学生が面白い・魅力的と感じるインターンシップの内容
学生が面白いと思うインターンシップにするためには、以下の3つの要素が重要です。
仕事の雰囲気を肌で感じられる |
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インターンシップは、単なる情報収集の場を超え、実際の職場環境を生の形で体験する機会です。学生は企業文化、職場の雰囲気、働くメンバーとのコミュニケーションなどを直接感じることができます。この経験は、仕事に対するリアルなイメージを形成し、企業へのマッチ、フィット感を確認する上で大きな価値があります。 |
リアルな業務体験ができる |
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学生は、インターンシップで実際の業務に参加することで、仕事の理論や学校での学びを実践に移す機会を得られます。例えば、プロジェクトへの参加、実際の課題解決、グループワークなどを通じて、職業技能や業界知識を深めることが可能です。このような体験は、仕事のリアリティを体感し、職業選択の意思決定にも役立ちます。 |
成長できる環境があると伝わってくる |
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学生は、自己成長とキャリアの発展ができるような環境を求めています。メンターとの面談やフィードバック、継続的なチャレンジの機会など、個人のスキル向上と専門知識の拡張を支援する要素は、インターンシップの魅力を大きく高めます。成長できる環境は、学生にとっても刺激的であり、将来のキャリアを築く上でも役立つでしょう。 |
2-2.インターンシップ内容の決め方
インターンシップの内容を考える際には、以下の流れに沿って決めましょう。
1 | インターンシップの目的を決める |
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まずはインターンシップの目的を明確に設定します。 【目的の例】
目的の決定は、インターンシップの全体的な方向性を決定することになり、具体的な計画立案にもつながります。 |
2 | 採用したい学生の特徴を具体化する |
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学生の学年、専攻、強み、キャリア目標、必要とされるスキルセットなど、ターゲットとする学生の特徴を明確にし、それに合わせたプログラムを設計します。 |
3 | どのように自社の魅力を伝えるか決める |
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インターンシップを通じて、企業がどのようなメッセージを伝えたいかを考えます。企業文化、キャリア成長の機会、独自の業務内容、働きがいなど、企業の魅力を効果的に伝えることで、学生に「ここで働いたら楽しそう、成長できそう」といった思いを抱いてもらいやすくなります。 |
4 | インターンシップの内容を決める |
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最後に、インターンシップの具体的な内容を計画します。実際の業務体験やグループワーク、課題などを通じて、実践的な学びの機会を提供しましょう。その際、企業の特色を生かせるような内容にすることが大切です。 |
一度、インターンシップの仕組みができれば、翌年以降は既存のフォーマットを参考にできます。毎年の反省を生かしながら、少しずつアップデートできるとよいでしょう。
3.【期間別】インターンシップの内容例
インターンシップの期間には、主に短期・中期・長期の3つがあります。
1day仕事体験や短期(2~3日程度のインターンシップ)の場合 |
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1day仕事体験や短期インターンシップは、通常1日から数日程度の期間にわたって実施されます。内容としては企業の概要説明、座談会、職場や工場の見学、簡単なワークショップなどが含まれます。これらの活動を通じて、学生は企業の雰囲気や基本的な情報などを知ることが可能です。 短期間のため、企業理解はそれほど深まらず、職種や業務内容の理解も限られます。そのため、主に企業の認知度向上や母集団形成にメリットがあるでしょう。 |
中期(選考に利用可能な5日以上のインターンシップ)の場合 |
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実践的なグループワークや業務疑似体験が中心となり、学生は企業や職種についてより深く理解できるのが特徴です。企業や仕事への理解を深めることで、学生の志望度を高める効果が期待されます。 連続日程で実施されることが多く、開催時期によっては学生が参加しにくい場合があるため、開催時期の選定が重要です。 |
長期(1か月以上実施するインターンシップ)の場合 |
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1か月以上、場合によっては1年を通して実施されることもあります。インターン生は通常、社員と同様の業務を行い、実際の職場環境での経験を積みます。時給や日給といった形で給与が支払われるケースが多いです。 短期や中期のインターンシップに比べて、実施にはより多くのリソースが必要ですが、その分、他社との差別化につながることもあります。 |
中期・長期インターンシップの場合、企業が先輩社員をメンターや相談役として設定し、学生の学習をサポートすることも多いです。
まとめ
インターンシップの内容を決める際は、まず企業の目的と学生に提供したい経験を明確にします。
重要なのは、インターンシップが単なる一方的な情報提供にとどまらず、相互の学びと成長が促進されるような内容にすることです。また、インターンシップの内容は、企業の特色を生かし、学生のキャリア形成に貢献するものでなければなりません。
学生が実践的な学びを通じて、職業的な知識・経験を得られるように計画することで、結果的に自社の魅力・特色も伝わりやすくなるでしょう。