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健康経営とは?導入メリット・手順から国が取り組む制度まで徹底解説

現代のビジネス環境において、従業員の健康は企業の最重要課題の1つとなりました。健康な従業員は生産性の向上や組織の持続的な成功に直結し、競争力のある企業を築くために不可欠です。

そこで提案されるのが「健康経営」です。健康経営は従業員の身体的・精神的健康を促進し、働く環境をより良くするための総合的な取り組みを指します。
当記事では、健康経営が注目される背景、国や自治体が取り組む健康経営優良法人認定制度、健康経営を企業に導入するメリット、導入方法について紹介します。

1.健康経営とは

健康経営とは、従業員の健康管理や健康づくりに向けた取り組みを「投資」として考え、経営的視点から従業員への健康投資を戦略的にすることを指します。健康経営は、「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みの1つです。

企業・事業所が従業員の健康に投資することで、従業員の生活の質や活力、仕事へのモチベーションが向上し、業務効率や生産性が高まると言われています。健康でポジティブな従業員が増えると、職場もより活性化するでしょう。企業の業績向上・株価の向上など、経営面における大きな成果も期待できます。

出典:経済産業省「健康経営」

1-1.健康経営が企業に注目される背景

少子高齢化が進む日本では、生産年齢人口が減少しており、今後長期にわたって深刻な人手不足が続くことが懸念されています。企業の持続的な発展を実現するためには、従業員の健康に配慮し、長く働いてもらえるような環境を整えることが必要です。

また、2025年4月より定年退職年齢が60歳から65歳に引き上げられることも、健康経営が注目される理由の1つとして考えられます。健康面の不調に関する不安・悩みは、年齢を重ねるほど増える傾向です。今後は、高年齢層にあたる従業員も健康で快適に働ける対応を考えることが企業に求められます。

2.国や自治体が取り組む健康経営優良法人認定制度

健康経営優良法人認定制度とは、特に優れた健康経営を実践している大企業・中小企業などの法人を可視化する制度を指します。日本健康会議が推進する健康増進や地域における健康課題に積極的に取り組むなど、優良な健康経営をしている企業を表彰する制度として、2016年度に経済産業省が創設しました。

優れた健康経営をする企業を可視化する制度には、より優れた健康経営をする企業を表彰する「ホワイト500」「ブライト500」の認定や、健康経営銘柄の選定などもあります。また、健康経営を支援するための独自の制度を設けている自治体もあります。

◆健康経営をサポートするための公的な制度

・「ホワイト500」「ブライト500」

健康経営優良法人制度において、大規模法人部門の上位500法人には「ホワイト500」が、中小規模法人部門の上位500法人には「ブライト500」の冠が付加されます。健康経営を実践する企業として社会的に高い評価を得られるでしょう。

・健康経営銘柄

東京証券取引所の上場企業の中から、優良な健康経営をしている企業を選定する制度です。健康経営を実践し社会的責任を果たす企業として紹介されることが多くなるため、長期的な企業価値の向上を重視する投資家に評価されやすくなります。

・自治体独自の健康経営支援制度(例:愛知県大府市)

世界保健機関(WHO)や健康都市連合(AFHC)から「健康都市」として表彰を受けたこともある愛知県大府市では、自治体独自の健康経営支援制度を設けています。
健康経営の支援制度を活用し、補助金制度や健康経営セミナーなどの市が提供するさまざまな支援メニューに取り組むことで、従業員の健康増進を図ることができます。市独自の表彰制度もあるため、企業の魅力を市民を中心とした外部に発信することも可能です。

出典:経済産業省「健康経営優良法人認定制度」

出典:経済産業省「「健康経営優良法人2022」認定法人が決定しました!」

出典:ACTION!健康経営

出典:経済産業省「健康経営銘柄」

出典:大府市「健康都市」

出典:大府市「はじめよう!健康経営」

上記のほかにも、国や自治体、経済界などでは、健康経営の実現に向けてさまざまな活動・支援サービスが行われています。健康経営を導入する際には、自社が利用できる制度・取り組みを確認しておきましょう。

3.健康経営を導入するメリット3つ

健康経営には「労働生産性や人材定着率の向上」「従業員の医療費削減」「求職者や取引先からのイメージアップ」など、さまざまなメリットが期待できます。企業が健康経営を導入することで、企業側も従業員側も大きなプラスの効果を得られるでしょう。
ここでは、企業が健康経営を導入するメリットを3つ紹介します。

3-1.生産性が向上する

従業員が体調不良のまま働いていたり、仕事に対するストレスや健康に対する不安を抱えていたりすると、従業員が持つ本来のパフォーマンスを発揮することができません。また、体調不良などによる欠勤・休職が多い状態では、従業員一人ひとりの業務負担も多くなるため、業務効率も低下してしまいます。

企業が健康経営に取り組むことで、従業員が心身ともに健康な状態を維持できるようになれば、欠勤率や休職率が下がり、それぞれの従業員のパフォーマンスも向上します。一人ひとりの生産性が改善することにより、企業全体の生産性向上・売上アップも期待できるでしょう。

3-2.従業員の医療費削減を期待できる

従業員が医療機関を受診した場合、従業員の自己負担分以外の医療費を会社が加入する健康保険組合(保険者)から支払うことになります。従業員が病気やケガなどで医療機関を受診する機会が多くなると、結果として企業(健康保険組合)が支払う医療費も増大します。労使折半となっている健康保険の保険料も値上げされかねません。

健康経営によって従業員が健康を維持・増進できれば、医療機関を受診する機会も減るため医療費を大幅に削減できる可能性があります。医療費の削減により確保できた資金を別の投資に回すことも可能です。

3-3.企業のイメージアップを図れる

従業員の健康に配慮する企業は、従業員を大切にする企業として「ホワイト企業」「優良企業」というイメージが定着しやすくなります。経営理念に基づいた健康経営に取り組むことで、求職者や消費者などが抱く企業イメージの向上につながります。

また、健康経営を実践する中で「健康経営優良法人」や「健康経営銘柄」に認定されれば、さらなる企業のイメージアップを図れます。投資家からの認知度や注目度、関係企業・取引先などからの信用度が高まることで、より安定した企業経営が可能になるでしょう。

4.健康経営の導入方法と注意点

健康経営を導入するには一定のコストがかかりますが、健康経営を実践することで得られるメリットも数多く存在します。特に下記のような状況にある企業は、企業の長期的な成長や安定的な事業運営といった視点から、健康経営の導入を積極的に検討することがおすすめです。

◆健康経営を導入するとよい企業(例)

  • 従業員の健康状態が安全やリスクに直結する業種(運輸業や旅客業など)
  • 従業員の年齢層が高い企業
  • 長時間労働やシフト勤務が多く、健康リスクが高くなりがちな企業
  • 定期健康診断やストレスチェックの結果などから、従業員の健康状態が心配な企業
  • 高い欠勤率・休職率・離職率が経営課題となっている企業

健康経営を導入する際の基本的な流れは以下の通りです。

1 社内外に「健康宣言」を告知する
加入する健康保険組合の健康宣言事業で「健康企業宣言」をしたり、社内に健康経営宣言を告知したりなど、健康経営に取り組むことを社内外に宣言しましょう。
2 健康経営に取り組む担当チームをつくる
従業員の健康保持・増進に向けた取り組みをするチームを設立し、担当者を配置します。
3 課題を把握し目標を設定する
従業員が抱える健康上の課題を把握します。具体的には、健康診断やストレスチェックの実施・分析、働き方に関するアンケートの実施などです。これらの結果をもとに、健康課題を解決するための目標・計画を設定しましょう。
4 具体的な施策を決め、実行する
目標に到達するための具体的な健康施策を決め、実行に移しましょう。従業員のニーズに合っており、誰もが取り組みやすい施策であることが大切です。
5 実行した施策を評価する
実行した健康経営推進のための施策を振り返り、結果の把握と分析をします。結果によっては施策内容を見直し、対策を考える必要があります。

企業が健康経営に取り組む際は、経営層と従業員がともに健康経営に対する認知・理解を深めることが大切です。従業員の課題に応じた取り組みを実施することを心がけ、従業員が主体的に取り組める環境を整えましょう。従業員の負担を増加させないよう、取り組みの内容や頻度、担当者の業務内容を検討することも重要です。

まとめ

健康経営は、企業が従業員の健康管理や健康づくりに戦略的に取り組むことです。経営的視点から従業員への健康投資を行います。
健康経営の導入により、従業員の生活の質や活力、モチベーションが向上し、業務効率や生産性も高まると言われています。背景としては、少子高齢化や定年退職年齢引き上げなどが挙げられます。

健康経営を導入するメリットは、生産性向上や医療費削減、企業イメージの向上などです。健康経営の導入には注意点もありますが、企業の成長や事業運営に長期的な視点をもつ場合、導入を検討する価値は十分にあるでしょう。