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職安法の改正で押さえるべき内容とは?改正の理由・背景も

職安法は2018年に改正が行われ、求職者に向けて明示すべき労働条件の追加や変更の際のルールなどが定められました。

出典:厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ~労働者の募集や求人申込みの制度が変わります~<職業安定法の改正>」

改正を知らずに違反した場合には罰則の対象となってしまうので、求人を出す際は改正のポイントを十分に理解しておく必要があります。

当記事では、職安法の改正内容や特に押さえるべきポイントに加えて、罰則規定の具体例などを解説します。これから自社の求人を出そうと考えている人は、当記事を参考にしてください。

1.職安法とは?

職安法とは、労働市場に関する事項を定めた「職業安定法」という法律の略称です。憲法に定められた「働く権利」に基づき、職業紹介事業に関するルールを明確化しています。

職安法では、求職者の職業選択の自由や職業による差別の禁止などを基本原則として、職業紹介・労働者募集・労働者供給の3本の柱を定めています。下記はそれぞれの詳しい内容です。

職業紹介 職業紹介事業者が厚生労働省の運営する人材サービス総合サイトに提供すべき情報に関する定め
労働者募集 求職者に対する勧誘を行う際に明示すべき労働条件の定め
労働者供給 人材紹介サービスなどの労働者供給に携わる事業者が講ずべき措置に関する定め

出典:e-Gov法令検索「職業安定法」

職安法は求職者の適性に合わせた自由な職業選択と、企業の適切な労働力確保を図ることで、離職の防止や経済の発展を目指しています。

1-1.職安法が改正された理由・背景

職安法は2018年1月1日に改正されました。変更点の多くは、募集情報として公開する労働条件に関する内容です。改正の理由・背景には下記が挙げられます。

  • 求人媒体の多様化
  • 求人に関する詐欺の増加
  • 過酷な労働の慢性化

昨今では、インターネット上にさまざまな求人媒体が溢れています。求人サイトを運営する事業者によっては、募集情報に事実と異なる労働条件が記載されていたり、内容が不十分であったりするケースも散見されます。また、長時間勤務やサービス残業の強制など、過酷な労働が慢性化していることも改正の理由の1つです。

2.職安法の改正で押さえるべき内容4つ

職安法の改正により、求職者に向けて公開する労働条件の範囲や罰則対象などが変更されました。そのほかにも、労働条件に関する公表内容の保管義務、労働条件に変更があった場合の周知義務などが新たに定められています。

ここでは、職安法の改正について押さえておくべきポイントを詳しく解説します。

2-1.労働条件の明示が必要なタイミング

労働条件の明示が必要なタイミングは下記の3つです。

  • ハローワークやインターネット上などで求人を行うとき
  • 労働契約を締結するとき
  • 労働条件に変更があったとき

ハローワークなどへの求人申込みや自社ホームページでの求人を行う際には、職安法で定められる労働条件の明示が必要です。

求人票スペースの関係で記載できない項目については、別途明示する旨の注意書きをした上で、求職者との初回面談までに知らせることとなっています。また、労働契約締結の際にも、労働条件通知書等にて改めて労働条件を明示しなければなりません。

労働条件に変更があった場合は、変更内容が確定した後、可能な限り速やかに明示することが必要です。

2-2.最低限明示しなければならない労働条件の項目

求人を出す際に最低限明示すべき労働条件は、下記の通りです。

改正前から明示が必要な項目 改正後に追加された項目
  • 業務内容
  • 契約期間
  • 就業場所
  • 就業時間
  • 休憩時間
  • 休日
  • 時間外労働
  • 賃金
  • 加入保険
  • 試用期間がある場合はその旨と、試用期間中の賃金
  • 裁量労働制の場合はその旨と、具体的な条件
  • 固定残業代制度を採用している場合、基本給の額・手当の額・割増賃金に関する規定など
  • 募集者の氏名・名称
  • 雇用形態(派遣労働者の募集である場合はその旨)

明示の不足によって求職者が不利益を被ることがないよう、改正後にはいくつかの項目が追加されました。

求人に関するトラブルの例は、「試用期間があることを知らなかった」「正社員募集であると認識していたが派遣労働者として採用された」といった内容です。トラブル防止のためにも、細かな条件まで含めた具体的な明示が求められます。

明示は原則として書面の交付による方法となりますが、求職者の希望があれば電子メールでもよいとされています。

出典:厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ~労働者の募集や求人申込みの制度が変わります~<職業安定法の改正>」

2-3.労働条件が変更になった場合の明示

労働条件が変更になった場合、速やかに明示することが必要です。特に、すでに選考を進めている求職者がいるケースでは、トラブル防止のためにも変更に関する情報提供を迅速に行わなければなりません。

変更内容を明示する際には、変更前・変更後の内容を比較できる書面を交付することが望ましいとされています。また、労働条件通知書において、変更部分が伝わるよう下線やマーカーを引く方法でもよいとされています。

出典:厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ~労働者の募集や求人申込みの制度が変わります~<職業安定法の改正>」

2-4.労働条件の明示で遵守するべき項目

労働条件の明示を行う際には、職安法に基づいた遵守項目にも留意しなければなりません。下記は、遵守項目の主な内容です。

  • 虚偽・誇大な内容の労働条件を明示しない
  • 試用期間として有期労働契約を締結する場合、試用期間中の労働条件の明示が必要
  • 試用期間と本採用をあわせて1つの労働契約を締結する場合、試用期間中と本採用後のそれぞれの労働条件の明示が必要
  • 労働条件の水準・範囲を限定し、可能な限り正確に知らせる配慮が必要
  • 労働条件や職場環境は、可能な限り具体的に詳細を知らせる配慮が必要
  • 労働条件を変更する可能性がある場合はその旨を明示し、変更が確定したら可能な限り速やかに知らせる

出典:厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ~労働者の募集や求人申込みの制度が変わります~<職業安定法の改正>」

求職者からの信頼を失うことがないよう、上記の内容は必ず押さえておきましょう。

3.職安法の改正に関する罰則

職安法は改正前の段階から罰則規定が設けられていましたが、改正によって罰則の範囲がさらに拡大されました。悪意に基づいて求人詐欺を行っている場合などはもちろんですが、改正の事実を知らず、明示する労働条件が不足している場合なども罰則の対象となっています。

以下では、具体的な罰則の例を紹介します。

30万円以下の罰金
  • 理由なく報告義務を怠った場合
  • 虚偽の報告をした場合
  • 立ち入りや検査の拒否、質問に対する虚偽の回答 など
6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
  • 改善命令違反
  • 虚偽の広告または虚偽の条件の提示 など
1年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • 虚偽などの不正行為
  • 労働者供給事業の停止違反
  • 厚生労働大臣の必要な許可を受けていない など
1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金
  • 暴行や脅迫による労働者供給
  • 公衆衛生上有害な業務への労働者供給 など

出典:e-Gov法令検索「職業安定法」

求人募集を出す場合は、改正内容を十分に確認しておくことが重要です。

4.【2022年最新】求人サイトの「届け出制」とは?

昨今では、就職・転職活動を行う際、インターネット上の求人サイトを利用する方法が主流となっています。求人サイトの利用は便利な一方で、掲載されている情報と実際の労働条件の相違によるトラブルが後を絶ちません。

2021年に行われた厚生労働省の労働政策審議会では、トラブルを防いで求人サイトの適切な運用を図るため、届け出制を導入する方針が決定されました。届け出の対象となるのは、求人情報を掲載しているだけの求人サイトや、複数の求人サイトをまとめた検索サービスなど、現在の職安法では申請許可が不要の求人サイトです。

出典:時事通信「求人サイトに届け出義務 トラブル増加で罰則強化へ―厚労省審議会」

2022年4月に厚生労働省が公表した資料では、「求人メディア等のマッチング機能の質の向上」という言葉が使用されています。求職者が安心してサービスを利用できるよう、求人メディアなどが準拠するべきルールが規定されました。

出典:厚生労働省「令和4年職業安定法の改正について」

「届け出制」という言葉は資料内に登場していませんが、求人メディアに関するルール整備は今後も進むことが予想されます。常に最新情報をチェックし、問題が起こらないよう配慮しましょう。

まとめ

職安法は「職業安定法」の略称であり、労働市場に関するルールを定めた法律です。求人媒体の多様化や求人詐欺の増加、過酷な労働の慢性化などを受けて2018年に改正が行われました。

改正による主な変更点は、労働条件の明示範囲や罰則対象範囲などです。改正を知らずに労働条件の訂正が行われていなかった場合は、罰則の対象となってしまうため、明示すべき項目をしっかりとチェックする必要があります。職安法は2022年にも改正されたので、最新の情報を押さえるようにしましょう。