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派遣社員に対する指示はどこまでできる?してはいけない指示も紹介

派遣社員を有効に活用することで派遣先企業には、人材不足問題の解消・採用コストの削減などのメリットが期待されます。しかし、派遣社員には指示できる内容や担当させられる業務が制限されるデメリットもあるため、無計画に活用を進めることはハイリスクです。

当記事では、派遣社員の活用を検討している経営者や人事担当者に向けて、派遣社員にしてはいけない指示について解説します。派遣社員に活躍してもらうために派遣先企業が考慮するべきポイントも把握し、自社の利益につなげたい人は、ぜひ参考にしてください。

1.派遣先企業は派遣社員に指示ができる?

派遣先企業は、派遣社員と雇用契約を締結するわけではないものの、指揮命令権を持ちます。そのため、派遣先企業は、派遣社員に業務指示を出すことが可能です。

企業が派遣社員を活用する際には、指揮命令者・派遣先責任者の違いを正しく把握した上で、受け入れ環境を整備する必要があります。指揮命令者・派遣先責任者の役割や選任する際の要件は、以下の通りです。

1-1.指揮命令者とは

指揮命令者とは、派遣先企業において派遣社員に業務指示を出す従業員です。指揮命令者は派遣社員の直属上司にあたり、派遣先企業における勤怠管理・就労環境の確認も担当します。

以下は、派遣先企業が指揮命令者を選任する際の要件です。

  • 派遣社員と同一部署に所属している
  • 派遣社員の業務内容を理解しており、正確に指示できる

派遣社員が複数業務を指示されて優先順位に迷う場合は、指揮命令者に判断をあおぐことが通常です。そのため、指揮命令者は派遣社員と同一部署に所属している必要があります。

1-2.派遣先責任者とは

派遣先責任者とは、派遣先企業における派遣社員の労働管理を一元的に担当する目的で、労働者派遣法第41条に基づき選任される従業員です。

出典:厚生労働省「派遣先責任者講習」

派遣先責任者は、派遣社員の待遇や派遣期間の管理・派遣会社との連絡業務全般などを担当します。その他、派遣社員から出る苦情の処理・派遣先管理台帳の作成や保存も、派遣先責任者の仕事です。

派遣先企業は原則、派遣社員100人ごとに1人の派遣先責任者を選任する必要があります。派遣先責任者を選任する際の要件は、以下の通りです。

  • 労働関係法令の知識がある
  • 人事、労務管理などに関する専門知識や経験が豊富である
  • 派遣社員の契約更新などに関し、一定の権限を持つ

派遣先責任者を選任しなかった派遣先企業は、労働者派遣法違反により罰則を課される恐れがあります。合法的に派遣社員を活用するためには、必ず派遣先責任者を選任しましょう。

2.派遣先企業が派遣社員にしてはいけない指示6選

派遣社員を活用しているとしばしば労働局から連絡が来て、指導のための訪問を受けます。訪問を受けた際にも安心して対応するためには、派遣社員にしてはいけない指示の内容や禁止されている業務上の扱いを把握しておきましょう。

以下では、派遣先企業が派遣社員にしてはいけない指示の代表例を紹介します。

2-1.労働派遣法によって禁じられている業務

労働派遣法では以下の業務に派遣社員を活用することを、安全面への配慮や仕事内容の専門性の高さから禁止しています。

  • 港湾運送業務
  • 建設業務
  • 警備業務
  • 病院や診療所などにおける医療関連業務

出典:e-Gov「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第四条」

また、弁護士・司法書士・土地家屋調査士・建築事務所における管理建築士の業務は、各士業に関する法令に従い、派遣社員の活用が禁止されます。

なお、派遣社員の活用禁止業務にはそれぞれ例外事項が定められている点に注意しましょう。活用禁止業務に含まれる仕事であっても、働き方や業務内容によっては派遣社員を利用できるケースがあるため、個別の判断が必要です。

2-2.サービス残業

派遣社員と派遣会社が36協定を締結しており、派遣契約書にあらかじめ時間外労働が発生する旨を記載すれば、派遣先企業は残業を指示できます。ただし、派遣先企業から派遣社員に対してサービス残業を指示することは禁止です。

サービス残業とは、適切な賃金の支払われない時間外労働・深夜労働・休日労働を意味します。定時の勤務終了を記録しつつ、追加の仕事を依頼することが、サービス残業として禁止される指示の一例です。

派遣社員は契約の打ち切りに対する不安から、サービス残業を断りにくい立場に置かれます。派遣先企業は派遣社員の立場を思いやり、業務量の調整や適切な勤務管理に努めましょう。

2-3.契約範囲外の業務

派遣先企業は派遣契約を締結する時点で、派遣会社と派遣社員の業務の範囲を話し合います。派遣先企業が契約社員に対して、契約外の業務を指示したり柔軟な対応を要求したりすることは禁止されています。

契約社員に出張をさせる可能性がある場合は、契約書に出張先の名称・担当する業務の内容を記載します。また、出張する際の交通費・滞在費・事故が起きた場合の補償などを派遣会社とよく話し合い、詳細条件を明確化することが必要です。

2-4.飲み会・接待

終業時間後の飲み会は、派遣社員の業務とみなされません。飲み会への参加を指示することは避け、本人の自由意思を尊重しましょう。

派遣社員を接待や会食に参加させたい事情がある場合は、派遣会社と派遣社員本人への相談が必要です。派遣会社や本人が難色を示す場合は、強要を避けましょう。

2-5.部署異動

派遣契約書には、派遣社員の配属される支店名や部署名が記載されます。そのため、派遣社員へ部署異動を指示することは、原則として禁止です。ただし、以下の条件を満たす場合は例外として、部署異動が認められます。

  • 派遣会社と派遣社員の合意がある
  • 派遣期間が満了している

派遣社員の派遣期間は、1か月以上3年以内で設定されます。派遣期間が満了し、新規契約を締結するタイミングに合わせて部署異動を相談するのは問題ありません。

2-6.二重派遣または偽装請負

派遣先企業が二重派遣もしくは偽装請負にあたる行為を行うことは、禁止されています。二重派遣とは、派遣社員を取引先などに派遣して、先方の指揮命令下で就業させる行為です。二重派遣は、職業安定法の「労働者供給事業の禁止」や労働基準法の「中間搾取の排除」に抵触します。

偽装請負とは、請負契約を締結した先に派遣社員を常駐させて、先方の指揮命令下で就業させる行為です。派遣社員を請負もとに常駐させる場合は派遣先企業が指示命令を出さないと、労働者派遣法違反を問われます。

3.派遣社員に対して派遣先企業が考慮するべきポイント

派遣社員は正規雇用の従業員ではないとはいえ、同じ目標達成を目指して働く仲間です。派遣社員に疎外感を持たせず、現場で活躍してもらうためには、派遣会社として考慮するべきポイントを意識した事前準備や理想的な職場環境の構築に努めましょう。

派遣先企業として考慮するべきポイントは、以下の通りです。

・正規雇用の従業員との壁を作らない

派遣社員が快適に働くためには、正規雇用の従業員と円滑にコミュニケーションできる状態が理想です。派遣先企業は、初日に自己紹介する機会を作る・従業員に派遣社員の名前を覚えてもらうなどの配慮によって、職場における良好な人間関係の構築を支援しましょう。

・教育機会を提供する

派遣先企業には派遣会社の求めに応じて、派遣社員が業務を遂行する際に必要な技能・ノウハウを習得するための教育機会を提供する義務があります。派遣先企業はOJT研修や技術講習会などを通じて、派遣社員のスキルアップをサポートしましょう。

・業務範囲をあらかじめ明確にする

派遣会社や派遣社員とのトラブルを防止するためには、業務範囲をあらかじめ明確化し、社内に共有することが必要です。派遣社員が配属される組織の部長や部門長には「電話対応など簡易的な作業であっても、範囲外の業務は指示しない」ルールを指導して、遵守させます。

まとめ

派遣先企業は派遣社員に対する指揮命令権を持つため、業務指示を出すことが認められます。ただし、派遣先企業が派遣社員に指示する際には、サービス残業・契約範囲外の業務・二重派遣にあたる行為を強要しないように注意しましょう。また、派遣先企業が派遣社員に対して飲み会への参加や部署異動を強要することも、禁止行為にあたります。

派遣先企業が派遣社員を有効に活用するためには、正規雇用の従業員との壁を作らせず、居心地の良い職場環境を提供することが大切です。合わせて、派遣社員に対しても十分な教育機会を提供してやる気を引き出し、自社の利益につなげましょう。