副業人材とは?他の雇用形態との違いや採用のメリット・手法を解説
現代の労働市場では、副業人材の存在が重要となっています。副業人材は、本業に加えて収入を得るために活動するプロフェッショナルです。多岐にわたる業務に従事し、柔軟性の高い雇用形態として企業の人手不足を解消する一助となっています。
しかし、副業人材の採用にはいくつかの注意点があります。今回は、副業人材の基本情報から採用手法の特徴、副業人材を最大限活用するコツを紹介します。効果的な人材戦略を構築したい採用担当者の方は、ぜひ当記事を参考にしてください。
目次
1.副業人材とは?
副業人材とは、本業として会社に属しながら、勤務時間外に別の仕事で収入を得ている人材のことです。士業を除く個人事業主やフリーランス、家事や育児のすきま時間を活用して働く在宅ワーカーなどを含めて、副業人材と呼ぶこともあります。
副業人材は、本業で得たスキルや経験を活かして働くため即戦力になることが多く、育成にコストがかかりません。そのため、人手不足の解消に役立つ柔軟な雇用形態として、多くの企業が副業人材の活用に乗り出しています。
副業人材が活躍する業務は、エンジニア、デザイナーといった専門知識が求められる分野だけではありません。経理・事務といったバックオフィス業務、接客業など多岐にわたることから、企業のニーズに合わせた副業人材の活用が可能です。
1-1.正社員・派遣社員・業務委託との違い
正社員や派遣社員は勤務時間や出勤日数が決まっていますが、副業人材の場合は変則的です。本業以外の時間に請け負った業務を行うため、副業人材の労働時間は平日の夜間または土日や祝日が中心となります。
契約面でも違いがあります。正社員や派遣社員は企業もしくは派遣会社と雇用契約を結び、業務に従事します。一方で副業人材を活用する際は、業務委託契約を結ぶことが一般的です。
業務委託契約は、業務の一部を指定して委託するときに結ぶ有期の契約形態のため、依頼できる業務が限定されます。企業側に指揮命令権はなく、労働時間や労働場所の指定、専従業務の強制などもできません。あらかじめ依頼業務を定めて契約を結ぶため、正社員や派遣社員と比べて依頼できる業務の自由度は低いと言えます。
2.副業人材を採用するメリット・デメリット
副業人材を採用するメリットは、次の2つです。
- 必要な人材を即戦力として迎えられる
- 正社員と比べて低コストで雇用できる
副業人材は、本業で獲得したスキルを活かして活躍する人が多い傾向があります。そのため、豊富なノウハウやスキルを持った人材を採用でき、即戦力が期待できます。
副業人材はスポットで雇用できることから、繁忙期などの企業が必要とするタイミングに限定して、スキルを持った人材を投入できることも大きなメリットです。副業人材を活用すると、採用や育成コストをかけずにスキルを持った人材を採用できます。正社員を採用して1から育成する必要がないため、採用や育成にかかる膨大なコスト削減が可能です。
ただし、副業人材の採用にはデメリットもあります。デメリットは、以下の2つです。
- 十分なコミュニケーションをとれない可能性がある
- 限定的な仕事内容や仕事量になりやすい
副業人材は短期間の契約が一般的であり、企業への所属意識が低い傾向があります。そのため、コミュニケーションに問題が発生する可能性が考えられます。
また、あらかじめ決められた仕事を依頼する業務委託契約になるため、社員のように幅広い仕事は依頼できません。労働時間にも違いがあることから、依頼する仕事量にも気を付ける必要があります。
副業人材を採用するメリットとデメリットの両方を踏まえて、事前に活用方法を検討することが重要です。
3.企業必見!副業人材の採用手法
副業人材を募集し採用する方法は、複数あります。採用方法によってメリット・デメリットが異なるため、副業人材を採用する前に理解することが大切です。
以下では、副業人材の採用方法ごとに、特徴やメリット・デメリットを解説します。
3-1.リファラル採用
リファラル採用とは、社員や取引先といった信頼できる人から、採用する副業人材を紹介してもらう方法です。紹介者を介して、人材の人柄やスキルを理解した上で採用を判断できます。
リファラル採用は、企業を理解した人から人材の紹介を受けるため、採用後のミスマッチが起こりにくい傾向があります。採用コストを抑えつつ、自社に適した人材を採用しやすい点が魅力です。
リファラル採用のデメリットは、企業側の雇用したいタイミングで人材を確保できない可能性がある点です。
3-2.クラウドソーシング
クラウドソーシングは、人材を探している企業と副業人材をつなぐプラットフォームを活用して採用する方法です。プラットフォームに登録済みの不特定多数の副業人材に対し、仕事内容を提示して募集します。募集から採用、契約終了後の支払いまでをオンライン上で行えることが特徴です。
クラウドソーシングのメリットは、多くの副業人材がクラウドソーシングサイトに登録しているため、幅広い仕事内容で人材を募集できる点です。
ただしクラウドソーシングは、不特定多数の応募者の中から自社に適した人材を探し、依頼しなければなりません。そのため、依頼先によってクオリティに差が出る可能性も考えられます。また副業人材に対する報酬に加え、プラットフォーム利用手数料がかかる点への理解も必要です。
3-3.アウトソーシング
アウトソーシングでは、企業側が副業人材を探し、業務を委託する方法が一般的です。実績やスキルを理解してから依頼するため、クオリティの高さが期待できるでしょう。
アウトソーシングのメリットは、一部の仕事をアウトソーシングすることで社員がコア業務に集中できる点です。
ただし、依頼を管理する社内担当者の負担増加につながるケースもあります。アウトソーシングする業務の詳細や情報共有の方法など、依頼前に管理しやすい体制に整えることが必要です。
3-4.人材エージェント
人材エージェントに副業人材の紹介を依頼する方法もあります。人材エージェントとは、企業からの依頼を受け、副業を探している人材とのマッチングサービスを提供する企業のことです。
人材エージェントから、より自社の仕事内容に適した人材の紹介を受けられるため、採用にかかる負担を軽減できます。
ただし、人材エージェントへの依頼費用は、比較的高額になる傾向があります。自社で副業人材を採用するよりもコストがかかる可能性が高いでしょう。
4.副業人材を活用する3つのコツ
最後に、副業人材を効率的に活用するためのコツを紹介します。副業人材が持つスキルを最大限発揮してもらえるよう、紹介するコツを参考に準備を進めましょう。
・自社の状況に必要な人材を明確にする
副業人材を募集する前に自社が抱えている課題を洗い出し、依頼したい業務や必要な人材を明確化しましょう。
専門知識やスキルが不足しているのか、一時的な業務量の増加による人材不足解消が目的なのかなど、解決すべき課題によって適した人材は異なります。自社がどのような副業人材を求めているのかを明確に把握することで、採用後のミスマッチを予防できるでしょう。
・年間の施策ロードマップを作成・共有する
年間の施策ロードマップを作成し、今後のスケジュールや目標を副業人材と共有することも大切です。副業人材がチームの一員としてより高いパフォーマンスを発揮できるように、全体像を捉えながら目標を持って仕事に取り組める環境を整えましょう。
・こまめにコミュニケーションをとりナレッジ・ノウハウを共有してもらう
日常会話や進捗状況の確認などで、副業人材とこまめにコミュニケーションをとるよう心がけましょう。チームの一員としての意識が高まり、副業人材のモチベーション向上に役立ちます。高いスキルを持った副業人材から、ナレッジやノウハウを共有してもらえるような関係性を築きましょう。
まとめ
副業人材は柔軟な雇用形態であり、企業に即戦力として貢献する一方でコミュニケーションや仕事量の調整に注意が必要です。
採用方法には、リファラル採用、クラウドソーシング、アウトソーシング、人材エージェントがあります。それぞれ特徴やメリット・デメリットに違いがあるため、どの方法が企業に適しているかをよく考えたうえで手法を決定しましょう。また自社のニーズを明確にして、副業人材との効果的なコミュニケーションを図ることもコツです。