採用受付センター

電話番号 0120-450-151

堺・神戸・枚方の人材派遣会社ならパワーキャスト

半導体業界の現状と今後|半導体の発展において注目される3次元化

半導体業界は、現代のテクノロジーにおいて不可欠な役割を果たしています。そして、今後の展望を考える上で、半導体はますます重要な要素となっています。生活において、スマートフォンやパソコン、自動車から家電製品まで、半導体技術に支えられています。

しかし、需要の増加とともに、半導体業界は新たな課題に直面しています。供給不足や素材の確保、技術の進化など、さまざまな課題が存在します。このような中で、研究者や企業は次世代の半導体技術の開発に取り組んでいます。

今回は、半導体業界の現状や今後の動向、技術革新に焦点を当て、未来の可能性について解説します。

1. 半導体とは?役割や種類を解説

半導体とは、電気を通しやすい「導体」と、電気をほとんど通さない「絶縁体」の中間的な性質をもつ物質です。導体と絶縁体の性質を使い分けすることで、電流の制御を可能にしています。半導体の製造に用いられる主な材料はシリコンやゲルマニウムなどです。

半導体は集積度によって分類できます。主な種類は、「ディスクリート半導体」「IC(集積回路)」「LSI(大規模集積回路)」の3つです。

ディスクリート半導体は集積度が最も低く、機能は1つだけです。ICは複数の半導体を集積して1つにした半導体で、複雑な機能に対応します。LSIはICの一種であり、集積度がより高い半導体です。

半導体は現在、スマホ・パソコン・デジタルカメラ・自動車・インフラなど日常社会で幅広く利用されています。

2. 半導体市場の現状

デジタル化社会の進展やコロナ禍によるテレワークの拡大などを背景に、世界市場における半導体出荷額は2021年に過去最高額を記録しました。出荷額は増加していますが、全般的に需要が増えているために半導体自体は不足傾向にあり、半導体市場は下降気味です。

半導体の世界市場における日本のシェア率は以前よりも小さくなっています。2018年から減少していた出荷額は2021年に増加に転じたものの、成長率はほかの地域よりやや低調です。

出典:総務省「令和4年情報通信に関する現状報告の概要」

以下では、半導体市場の動向を詳しく解説します。

2-1. 2021年頃から世界的に半導体が不足

現在、複数の要因が重なり、世界的に半導体が不足しています。

要因の1つは、デジタル化社会が進展し、電気自動車をはじめ半導体を必要とするデバイスの数が増加していることです。

さらに、コロナ禍によって半導体の製造に必要な部品を供給する工場の閉鎖が続き、サプライチェーンにも影響が及びました。加えて、コロナ禍ではテレワークに移行する人が増え、パソコンやゲーム機の需要拡大につながったことも一因です。

米国の対中政策、寒波や干ばつといった自然災害による生産の遅れ、工場施設の老朽化なども半導体不足に拍車をかけています。現時点では、半導体が不足している状況は急速には改善しない見込みです。

2-2. 日本企業における半導体の世界シェア率は下降傾向

日本企業に目を向けると、半導体の世界シェア率は全般的に下降傾向にあります。

米国市場調査会社の調べでは、2021年における半導体売上の世界シェア率トップは米国の54%です。2位は韓国の22%、3位が台湾の9%で、次に日本と欧州が同率の6%、中国の4%と続いています。

当初、中国の世界シェアは近く日本を越すと予想されていました。しかし、中国の数値が2000年の5%から4%へとマイナス成長した上、日本の各半導体メーカーがフル生産をしたことが6%を維持できた理由です。

出典:セミコンポータル「日本の半導体ICメーカーの世界シェアは2021年も6%のまま」

日本は半導体自体の世界シェア率は低いものの、関連する素材や装置においては世界シェア率が高い点が特徴です。

3. 半導体市場の今後

モノのインターネット化「IoT」が広く世界で普及する中で半導体の重要性も増し、2023年以降、半導体市場の状況は再び変わりつつあります。

日本では、経済産業省が次世代半導体プロジェクトを進めています。近年の遅れを取り戻し、近未来の半導体市場へ積極的に参入しようという狙いです。

出典:経済産業省「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」

ここでは、今後の半導体市場で見込まれることや起こる可能性のある展開について紹介します。

3-1. IoTの普及により市場の成長が見込まれる

半導体はかつて、パソコンやテレビといった機器へ活用されることが一般的でしたが、近年は情報通信技術「ICT」への活用が幅を占めるようになってきました。ICTは、IoTの普及にも大きく貢献しています。

IoTは、インターネットを介してエアコンや洗濯機といった電気機器の操作を可能とする技術で、各々の電気機器には半導体が必須です。また、IoTで用いるクラウドサービスには大容量のサーバーが必要であり、円滑に機能させるためには半導体が欠かせません。

加えて、IoTとの親和性が高く、近年注目が集まっているAI技術にも半導体は不可欠です。こうした最新技術の発展と普及により、半導体市場の成長が見込まれています。

3-2. 業界によっては半導体の需要が落ちる可能性がある

半導体の需要は、業界によっては落ちる可能性を含んでいます。半導体市場では一般消費者のコンシューマー向けと企業のエンタープライズ向けの半導体で二極化が進んでおり、コンシューマー向けが低迷傾向にあるためです。

コンシューマー向けは、コロナ禍においてはホームオフィスの拡大によってパソコン関連の通信機器の需要が増えて盛況となったものの、現在の需要は減少傾向にあります。コロナ禍が明けて、娯楽や旅行などに投資する人々が増えていることも需要減少の要因です。

ただし、コンシューマー向けの中でも、電気化や高性能化が進む自動車関連の業界においては需要の高さが続くと予測されています。

3-3. 研究開発・量産製造の拡大に伴い市場が活性化することが予想される

米国や韓国、台湾、欧州といった国々や地域では現在、次世代半導体の開発が加速している状況です。最先端の半導体は構造が大きく変わるため、量産製造に対応可能な生産技術も必要とされています。

経済産業省が進める「次世代半導体プロジェクト」は半導体分野における研究開発であり、成長戦略の1つです。半導体の集積化技術や製造技術の開発やシステムの構築などを国内外の企業や学術機関と連携して行い、研究開発終了後の事業化を目指しています。

また、日本政府は次世代半導体の生産能力を高めるため、量産製造拠点としての事業会社設立に関わっています。同事業会社はすでに、次世代半導体プロジェクトの採択先として決定しており、2020年後半には次世代半導体の量産体制が確立する見込みです。

こうした研究開発・量産製造の拡大が、市場の活性化を大きく促すと予想されています。

出典:経済産業省」次世代半導体の設計・製造基盤確立に向けて」

出典:経済産業省「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」

4. 半導体のさらなる発展において注目される「3次元化」

半導体市場の発展の鍵を握るのは、「半導体の3次元化」です。半導体の3次元化とは、複数のチップを垂直方向に積み重ね、演算処理能力を高めることによって性能を向上させる技術を指します。

性能の向上は、これまでチップ上の回路を微細化する手段を用いて可能にしてきました。しかし、微細化できる程度には限界があるため、性能をさらに向上できる新たな手段として考え出されたのが3次元化です。

今後、IoTが社会に一層普及するにつれ、データ通信量も増加します。膨大なデータ通信量には高速の演算処理能力が必須であり、3次元化された半導体が性能を発揮する場です。

膨大なデータ通信量を効率的に演算処理するには、最初にローカルネットワークで情報を処理し、必要なデータのみをクラウドサーバに送るという方法も有効です。半導体の3次元化は、こうした一連の作業も可能にします。

半導体を3次元化する工程において、チップを積み重ねる作業に正確さが要求されるため、精密な作業を強みとする日本の半導体関連企業にも期待が寄せられています。

まとめ

2021年頃を境に半導体の不足が始まり、世界のシェア率も日本企業は下降傾向です。半導体の世界シェア率は米国が半数を占め、日本は欧州と同率の6%となっています。日本は半導体の世界シェア率が低い一方で、関連する素材や装置においては世界シェア率が高いことが特徴です。

日本は今後、モノのインターネット化や経済産業省が進める次世代半導体プロジェクトにより、近年の遅れの取り戻しを狙っています。研究開発・量産製造の拡大に伴い、市場が活性化することも予想されています。

また、半導体市場の発展の鍵を握る「半導体の3次元化」の工程において、日本企業は期待を寄せられています。