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【2026年4月施行開始】年金制度改正法とは?改正点を徹底解説

年金制度改正法とは、少子高齢化や働き方の多様化といった社会環境の変化に対応するため、公的年金制度や私的年金制度を見直す法律です。日本では高齢化の進行により、将来の年金制度の持続可能性や働き方との整合性が重要な課題となっています。年金制度改正法は、働きながら年金を受け取りやすい環境づくりや、老後資産形成の支援を目的です。

当記事では、年金制度改正法の概要と主な改正内容、施行スケジュールについて分かりやすく解説します。

1.年金制度改正法とは

年金制度改正法とは、社会経済の変化や働き方の多様化に対応し、公的年金制度の機能を強化するために関連法を改正した法律です。正式名称は「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」です。

日本では少子高齢化や働き方の多様化が進み、従来の年金制度では対応が難しい課題が生じています。パートや短時間労働者の増加、男女の就業状況の変化、ライフスタイルの多様化などにより、制度の見直しが必要となりました。そのため、被用者保険の適用拡大や在職老齢年金制度の見直し、遺族年金制度の改正などを通じて、働き方に中立的で公平性の高い制度への転換が図られています。

年金制度改正法は、高齢期の生活の安定や所得再分配機能の強化を目的としており、企業の人事労務管理にも影響します。

出典:厚生労働省「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律の概要」

2.年金制度改正法の変化・改正点

年金制度改正法では、働き方の多様化や少子高齢化の進行を踏まえ、公的年金制度と私的年金制度の双方について複数の見直しが行われました。主な改正点には、社会保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、遺族年金制度の変更、標準報酬月額の上限引上げなどがあります。

ここでは、具体的な変更点・改正点について詳しく解説します。

2-1.社会保険の加入対象の拡大

社会保険の加入対象の拡大とは、短時間労働者や個人事業所の従業員など、これまで加入対象外だった働き方にも厚生年金・健康保険の適用を広げる改正です。

従来、短時間労働者が社会保険に加入するためには、週20時間以上の労働時間に加え、月額8.8万円以上(年収106万円相当)の賃金要件や企業規模要件(従業員51人以上など)を満たす必要がありました。今回の改正では、賃金要件を撤廃するとともに、企業規模要件を段階的に縮小し、最終的には企業規模に関係なく週20時間以上働く労働者が社会保険に加入する仕組みに変わります。

また、常時5人以上を雇用する個人事業所についても、従来の法定17業種に限らず全業種へと適用が拡大されます。これにより、パートやアルバイトを含め、より多くの労働者が厚生年金や健康保険の保障を受けられるようになります。

出典:厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」

2-2.在職老齢年金制度の見直し

在職老齢年金制度の見直しでは、働きながら年金を受け取る高齢者の年金減額基準が緩和されます。

在職老齢年金とは、60歳以上の人が厚生年金に加入して働きながら老齢厚生年金を受け取る場合に、賃金と年金額の合計に応じて年金の一部または全部が支給停止される制度です。従来は、賃金と年金の合計が月51万円を超えると支給停止の対象となっていました。

2026年4月以降は、基準額が月65万円へ引き上げられます。基準額の引上げにより、一定の収入を得ながら働く高齢者でも年金が減額されにくくなり、就労継続のインセンティブが高まります。平均寿命や健康寿命の延伸を背景に、高齢者の就労を促進することが改正の主な目的です。

出典:厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて」

2-3.遺族年金制度の見直し

遺族年金制度の見直しでは、男女差の解消と現代の家族構成に対応した制度への変更が行われます。

遺族厚生年金は、厚生年金の加入者が亡くなった場合に配偶者や子どもなどの遺族が受け取れる年金です。今回の改正では、男女差の解消を目的として、子どもがいない配偶者への給付制度が見直されます。具体的には、18歳未満の子どもがいない20~50代の配偶者は、原則として5年間の有期給付となります。

一方で、これまで対象外だった60歳未満の男性配偶者も新たに給付対象となります。また、有期給付終了後も収入が一定水準以下の人や障害がある人には、給付を継続する仕組みが設けられています。これにより、男女の制度差を解消しつつ、生活状況に応じた支援が行われます。

出典:厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」

2-4.厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げ

厚生年金保険料の計算基準となる標準報酬月額の上限は、現在の65万円から75万円へ段階的に引き上げられます。現行制度では、月収が65万円を超えてもそれ以上保険料が増えないため、高所得者ほど実際の収入に対する保険料割合が低くなるという課題がありました。

改正では、2027年9月に68万円、2028年9月に71万円、2029年9月に75万円へと段階的に引き上げられます。これにより、収入に応じた保険料負担が実現し、将来の年金給付額の増加にもつながります。

出典:厚生労働省「厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて」

2-5.私的年金制度の見直し

年金制度改正法では、公的年金だけでなく企業年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)などの私的年金制度も見直されます。

主な改正点の1つは、iDeCoの加入可能年齢の上限を引き上げることです。従来は原則65歳未満まででしたが、改正により70歳未満まで加入・拠出が可能となる予定です。高齢期まで働く人が増える中で、老後資産の形成期間を延ばす狙いがあります。

また、企業年金の運用状況について、厚生労働省が情報を集約し公表する仕組みが導入されます。これにより、企業年金の透明性が高まり、他社との比較や分析がしやすくなると期待されています。

出典:三井住友信託銀行 確定拠出年金業務部「私的年金制度改正の方向性(企業年金・個人年金)について」/

2-6.将来の基礎年金の給付水準の底上げ

将来の基礎年金の給付水準の底上げは、少子高齢化による年金給付の低下リスクに対応するための措置です。

日本の公的年金制度は、現役世代が納める保険料で高齢者の年金を支える「賦課方式」を基本としています。しかし、人口減少や経済成長の停滞が続く場合、基礎年金の給付水準が低下する可能性が指摘されています。

今回の改正では、次回の財政検証(2029年予定)で基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合、マクロ経済スライドによる給付調整を早期に終了させるなど、給付水準を維持・向上させるための法的措置を検討する方針が示されました。これにより、将来の年金制度の持続可能性と所得再分配機能の維持を図ることが目的とされています。

出典:厚生労働省「将来の基礎年金の給付水準の底上げについて」

3.年金制度改正法の施行スケジュール

年金制度改正法は、制度の影響が大きいことから、2026年以降に段階的に施行される予定です。主な改正は、公的年金制度の見直しと私的年金制度の拡充に分けて順次実施されます。

まず2026年4月には、企業型確定拠出年金(企業型DC)の制度改正が施行されます。具体的には、簡易型DCの通常の企業型DCへの統合、マッチング拠出における加入者掛金の制限撤廃、自動移換に関する説明義務の見直しなどが実施されます。さらに2026年12月には、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入可能年齢が70歳未満まで引き上げられ、拠出限度額も拡大されます。

企業の人事労務担当者は、制度変更の時期を把握し、社会保険手続きや福利厚生制度への影響を確認しておくことが大切です。

出典:厚生労働省「2025年の制度改正」

まとめ

年金制度改正法は、少子高齢化や就業形態の多様化に対応し、公的年金制度の持続可能性と公平性を高めることを目的として実施される制度改革です。主な改正内容には、社会保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、標準報酬月額の上限引上げ、企業年金やiDeCoなど私的年金制度の整備などがあります。

制度の仕組みや施行時期を正しく理解しておくことで、企業担当者や働く人が適切に対応しやすくなるでしょう。今後も年金制度は社会状況に合わせて見直される可能性があるため、最新の制度動向を継続的に確認しておくことが大切です。