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スパン・オブ・コントロールとは?限界人数や超えた場合の対策を解説

チームの人数が増えるにつれて「一人ひとりに目が行き届かない」「指示や相談対応に追われて自分の仕事が進まない」と悩むマネージャーは少なくありません。新任の管理職やリーダーであれば、どの程度の人数を適切にマネジメントできるのか、不安を感じることもあるでしょう。こうした悩みに対する答えのヒントとなるのが「スパン・オブ・コントロール」という考え方です。

当記事では、スパン・オブ・コントロールの基本的な意味や注目される背景、人数の目安、人数が多すぎる・少なすぎる場合の影響、限界を超えた際の対策を解説します。自身のチーム構成やマネジメント方法を見直し、負担を軽減しながら管理業務の成果を高めましょう。

1. スパン・オブ・コントロールとは

スパン・オブ・コントロール(Span of Control)とは、管理者1人が対応できるマネジメント人数や業務領域を指す経営学上の概念です。範囲が狭ければ個別フォローがしやすい一方、管理者の負担は増大します。反対に、範囲が広ければ効率的に意思決定が進む反面、メンバーへのサポート不足につながる可能性があります。

業務内容の複雑さや組織構造によって適正人数は変化し、限界を超えると業務の停滞や人材育成の遅れを招きかねません。そのため、適切な管理人数を見極めることが、組織運営における効果的なマネジメントのポイントとなります。

1-1. スパン・オブ・コントロールが注目されている背景

スパン・オブ・コントロールが注目される背景には、組織の効率化や生産性向上への強いニーズがあります。現代の職場は多様な価値観や働き方を持つ人材で構成されており、メンバー一人ひとりのニーズに応えるためには適切な管理人数の設定が必要です。

管理範囲が狭すぎると階層構造が複雑化して意思決定が遅れる一方、広すぎればメンバーへの指導やフォローが不足してモチベーション低下を招きます。そのため、組織が柔軟かつ持続的に機能するための基盤として、スパン・オブ・コントロールが重要視されるようになりました。

2. スパン・オブ・コントロールを考える上で考慮すべきポイント

スパン・オブ・コントロールの適正は一律ではなく、管理者のマネジメントスタイルや組織構造、業務内容・業務量、メンバー間の連携状況によって変化します。ここからは、適切な人数管理・組織管理を行うために考慮すべき要素を説明します。

2-1. マネジメントスタイル

マネジメントスタイルは、管理者が何人の部下を効果的にマネジメントできるかを左右します。部下を信頼して自己裁量を与えるリーダーシップを取る場合、管理者が抱えられる人数は比較的多くなります。メンバーが自主的に行動できる環境では、細かな指示や監督の必要が減るためです。

一方で、指示命令型のスタイルを取る場合、管理者が部下一人ひとりに細かく指導しなければならず、管理可能な人数は少なくなります。組織の状況に合わせて自分のスタイルを見直すことが求められます。

2-2. 組織の構造

組織の構造は、スパン・オブ・コントロールの広さや管理のしやすさに影響を与えます。大規模組織では、情報伝達の効率化が求められるため、ある程度広めのスパンが有効です。階層を増やしすぎると意思決定が遅れるため、中間管理職の負担を分散しつつ広い範囲をカバーすることが重視されます。

反対に、小規模組織ではトップが部下と直接関わる機会が多い傾向にあり、狭いスパンで密にチームマネジメントを行うほうが成果につながる場合があります。そのため、組織構造に応じた人数調整が必要です。

2-3. 業務内容

業務内容の複雑さや専門性の高さによって、管理可能な人数は変わります。ルーティン化された単純な業務であれば、上司の指示を標準化できるため、広いスパンで多数の部下を監督できます。

対照的に、業務が複雑で専門性が求められる場合は、部下一人ひとりへのフォローや助言が不可欠となり、管理者が抱えられる人数は少なくなります。組織の効率性を高めるためには、業務の難易度や専門性に応じてスパンを柔軟に調整することが必要です。

2-4. 業務量

管理者が抱える業務量も、適切なスパン・オブ・コントロールを決める要素の1つです。管理職は部下の育成や人事評価だけでなく、スケジュール管理や目標管理、トラブル対応、組織方針の遂行など、多くのマネジメント業務を担っています。業務量が多いほど部下への対応時間が減少し、適切に管理できる人数は限られてしまいます

反対に、業務が整理されて負担が軽減されている場合は、より多くの部下を統率することが可能です。効果的なマネジメントを実施したい場合は、業務量の見直しと調整を検討しましょう。

2-5. メンバー間の連携

メンバー同士の連携の強さは、管理者が見守る範囲の広さに関係します。メンバーが自律的にコミュニケーションを取り合い、互いにサポートし合える環境では、管理者が細かく関与する必要が減り、広い範囲をカバーできます。

反対に、メンバー間の連携が不足している場合、管理者が個別対応に追われるため、抱えられる人数は少なくなります。そのため、適正なスパンを確保したいときは、チーム内の連携を強化し、自走できる組織風土を整えることも1つの方法です。

3. スパン・オブ・コントロールでマネジメントできる限界人数は何人?

スパン・オブ・コントロールには限界があり、マネジメント適正人数を超えると管理が行き届かず、組織の効率や成果に悪影響を及ぼします。ここでは、一般的な人数の目安と、多すぎる・少なすぎる場合の課題について解説します。

3-1. マネジメントできる人数の目安は5~8人

一般的に管理職が効果的にマネジメントできる人数は5~8人程度とされ、最大でも10人が管理限界と言われています。「2枚のピザ理論」とは、2枚のピザを分け合える程度の人数が理想的なチーム規模であるという考え方で、これが適正人数の目安となっています。

5~8人程度なら円滑なコミュニケーションや目標設定に基づく個別のフォローが可能です。一人ひとりの状況を把握しやすくなり、適切なサポートや成長支援を行えます。その結果、チーム全体の業務効率化や成果向上につながる点が大きなメリットです。

3-2. 部下の人数が多すぎる・少なすぎる場合は?

部下の人数が多すぎると、管理者は一人ひとりの進捗や課題を把握しきれず、適切なサポートや指導が行えなくなります。その結果、意思決定の質が低下し、コミュニケーション不足や部下の成長停滞を招く恐れがあります。

また、部下の人数が少なすぎると管理職層が増えすぎ、組織全体の意思決定が遅れる要因となります。市場変化への迅速な対応も難しくなり、柔軟性や競争力の低下につながりかねません。つまり、人数が多すぎても少なすぎても組織に悪影響を及ぼすため、バランスの取れた人数設定が重要です。

4. スパン・オブ・コントロールを超えた場合の対応策

スパン・オブ・コントロールを超えると、管理者の業務負担が増加し、業務プロセス全体の停滞を招く恐れがあります。ここからは、具体的な対応策について解説します。

4-1. 管理職を増やして負担を分散する

スパン・オブ・コントロールを超えた場合、管理職の人数を増やし、1人あたりの負担を軽減することが基本的な対策となります。部下の人数を適正範囲に分ければ、個々のサポートや育成が行き届きます

ただし、管理職を増やす際は意思決定の遅れや部下の混乱を招かないよう、責任や指揮権の所在を明確にしましょう。また、部下を減らす場合は、担当業務の割り振りや引き継ぎ内容を事前に決め、人数削減の理由や背景をチーム全体に丁寧に共有する必要があります。

4-2. 部下を育成して権限委譲を進める

長期的な解決策として有効なのが、部下を育成し、権限を一部委譲することです。信頼できる人材に意思決定を任せられるようになれば、管理職はより戦略的な業務に集中でき、負担を軽減できます。

このような権限移譲は「エンパワーメント」と呼ばれ、部下の自律性を高めつつ組織の力を引き出すことが可能です。ただし、即効性はあまり期待できず、成果が出るまでに時間がかかりやすいため、日常的に将来を見据えた部下育成や人材づくりを意識することが大切です。

4-3. 業務の標準化を行う

業務の標準化は、管理職の負担を減らしてスパン・オブ・コントロールを拡大するために効果的です。マニュアルやルールを整備することで、部下が判断に迷う場面が減り、管理者に依存しない運営が可能となります。

また、ITツールを活用した情報共有や進捗管理の仕組みを整えることで、コミュニケーションの効率化も期待できます。標準化により業務フローや品質が均一化され、管理職が個別対応に追われることがなくなれば、本来のマネジメントに注力できるでしょう。

4-4. チーム内での連携を強化する

チーム内の連携が強いほど、メンバー同士でのフォローや協力が自然に生まれ、管理者の負担は軽減されます。管理者が細かく介入しなくても業務遂行できるチームにするには、目標や業務内容を共有し、先輩社員が後輩をサポートする体制を整えることが必要です。

また、コミュニケーションツールや管理ツールを活用した情報共有の仕組みを整備すれば、意思決定の迅速化や効率向上も期待できます。連携を強化することはメンバーのモチベーション維持にも有効であり、その結果としてスパン・オブ・コントロールを拡大できるでしょう。

まとめ

スパン・オブ・コントロールとは、管理者が直接マネジメントできる部下の人数や範囲を指す概念です。一般的な目安は5~8人程度であり、この範囲を超えると管理が行き届かず、意思決定の質やメンバーの成長に悪影響を及ぼす恐れがあります。反対に、人数が少なすぎてもリーダー層が肥大化し、柔軟な対応力を失うリスクがあります。

適正な人数を維持するには、管理職の増員や権限委譲、業務の標準化、チーム連携の強化などの対策が効果的です。組織全体のパフォーマンス向上を図りたい場合は、自分のチームが抱える人数やマネジメント方法を振り返り、改善できる部分がないか見直してみましょう。