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労働者派遣法改正のポイント・歴史をわかりやすく解説

労働者派遣法は、日本の労働市場において重要な役割を果たしており、派遣労働者の権利保護や雇用の安定性を確保するために設けられた法律です。しかし、複雑な仕組みや頻繁に行われる法改正によって、その内容を正確に理解することは簡単ではありません。派遣労働者として働く方や派遣会社で働く方にとって、労働者派遣法の理解は欠かせません。

この記事では、労働者派遣法の基本的な仕組みと歴史的な背景に加え、2020年と2021年に行われた改正のポイントについてわかりやすく解説します。労働者派遣法の概要から最新の改正内容までを詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。

1.労働者派遣法とは?

労働者派遣法とは、1986年に施行された法律です。正式には「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」と言います。

出典:e-Gov「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」

労働者派遣法の主目的は、派遣労働者の保護です。施行当初、労働者派遣法の目的は派遣労働の合法化で、法改正の方向性も人材派遣業の拡大や規制緩和を重視した内容でした。ところが、2012年の改正からは、雇用の安定化や労働条件の整備などが盛り込まれ、現在のような派遣労働者を保護する機能が強まりました。

労働者派遣法が制定された背景には、グローバル化やデジタル技術の進歩・普及といった時代の変化が挙げられます。1947年に制定された職業安定法では、人材派遣は原則禁止とされ、類似の仕組みとして業務請負が利用されていました。

ところが、時代の変化によって一時的な労働力に対するニーズが高まり、合法的に人材派遣を行うために最初の労働者派遣法が施行されました。

2.労働者派遣法の仕組み

派遣先企業も派遣会社も、派遣労働者を雇用する際には、労働者派遣法についての理解を深め、労働者の権利を守るように努める必要があります。ここでは、労働者派遣法の仕組みについて解説します。人材派遣を適正に活用するための参考にしてください。

2-1.有期雇用派遣

有期雇用派遣とは、契約であらかじめ定められた就業期間の中で人材を雇用・派遣する形態です。

一般的な登録型派遣は、有期雇用派遣の1種です。有期雇用派遣のスタッフは、派遣会社と雇用契約を結んでいます。派遣先企業とは直接の契約を締結しておらず、人材の派遣に関しては派遣会社と派遣先企業がやり取りを行います。

就業期間は契約によってさまざまであるものの、数か月間が一般的です。規定の就業期間が経過すると、派遣社員は契約更新もしくは退職します。契約を更新するには、派遣会社や派遣先企業から打診する必要があり、契約を更新しない場合は派遣会社からも退職扱いとなるケースがほとんどです。

2-2.無期雇用派遣

無期雇用派遣とは、雇用期間の制限なしに派遣社員を雇用する形態です。有期雇用派遣と同様、労働者は派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業に派遣されます。無期雇用派遣の場合、派遣先企業での就業期間は決まっていても、派遣会社との契約期間は決まっていません。現場での就業期間が終了した後も、派遣会社との雇用は継続されます。

有期雇用派遣では、現場での就業期間が終了すると同時に派遣会社とも契約が切れるため、派遣社員に対しては就業期間中のみ賃金が発生します。一方、無期雇用契約では派遣先が決まっていない派遣社員に対しても、派遣会社からの賃金の支払いが必要です。

労働者が無期雇用派遣で働くには、無期雇用派遣の求人に応募して選考に合格する方法と、有期雇用派遣から転換する方法があります。有期雇用派遣の労働者は、1つの派遣会社で通算5年以上働くと、無期雇用派遣に転換できます。

2-3.紹介予定派遣

紹介予定派遣とは、労働者を派遣先企業に就職させることを前提とした仕組みです。派遣期間終了後、労働者と派遣先企業の両者が合意すれば、労働者は派遣先企業で社員として登用されます。試用期間つきの人材紹介をイメージすると分かりやすいでしょう。

紹介予定派遣は、ある程度派遣社員として雇用してから採用に進むため、労働者・派遣先企業の双方にミスマッチが起きにくい点がメリットです。ほかの派遣と同様、最初は労働者と派遣会社が雇用関係を結び、社員登用後は労働者と派遣先企業が直接雇用契約を結びます。

3.労働者派遣法改正の歴史

労働者派遣法は、1986年に施行されてから改正を重ねてきました。時代やニーズの変化にあわせて改正を繰り返す中で、法律としての性格や主目的も大きく様変わりしています。

労働者派遣法は、2007年までと2012年以降で改正の方向性が変わっています。2007年までは人材派遣事業の拡大が主目的で、派遣期間制限の延長や派遣可能な業種の解禁といった、規制緩和を中心とした改正がほとんどでした。

ところが、規制緩和により人材派遣ビジネスが拡大すると、派遣切りや雇止めといったことが問題化します。人材派遣を取り巻く変化を受けて、2012年の改正では日雇派遣の原則禁止、2015年の改正ではIT業界でおなじみだった特定派遣の廃止といった規制強化が盛り込まれました。

待遇の改善や説明義務の強化なども盛り込まれ、派遣労働者保護の法律としての側面が強まっています。

4.労働者派遣法改正のポイント

近年の労働者派遣法の改正は、派遣労働者の保護に注力する傾向があるものの、改正のポイントは年ごとに異なります。ここでは、2020年・2021年の改正のポイントについて解説します。新しく改正されたポイントを押さえ、現行法の理解を深めましょう。

4-1.2020年改正のポイント

2020年改正のポイントは、「同一労働同一賃金」の導入です。本来、賃金は労働力の対価として支払われるものであり、同じ労働に対しては誰もが同程度の賃金を受け取る権利があります。ところが、2020年以前は、正社員と派遣労働者では同じ労働を行っても賃金などの待遇に格差がありました。

そこで、2020年の改正では正社員と派遣労働者の不合理な待遇格差を解消するため、派遣労働者の賃金・待遇の決定方法を変更しました。改正後は、派遣会社は次の2つの方式から、派遣社員の賃金・待遇の決定方法を選択する必要があります。

派遣先均等・均衡方式
派遣社員が派遣先企業の正社員と同等の業務に従事する場合、待遇を派遣先の正社員と同様にする方式
労使協定方式
派遣社員と派遣会社の間で労使協定を結び、協定に基づいた待遇とする方式

ここでいう「待遇」とは、賃金のみでなく、社員に対する教育訓練や福利厚生などを含んだ待遇です。厚生労働省の調査によると、派遣会社の88%が労使協定方式を選択しています。

出典:厚生労働省「労働者派遣法第30条の4第1項第2号イに定める同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金の額に係る通知について」

出典:厚生労働省「労働者派遣法の改正について」

出典:厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」

4-2.2021年改正のポイント

2021年改正のポイントは、派遣会社・派遣先企業の義務の強化です。2021年は、1月と4月に改正が行われています。

2021年の改正では、派遣会社から派遣社員に対するキャリア形成支援についての説明を義務化しました。ほかには、派遣社員の希望聴取やインターネットでの情報提供を義務化しています。また、日雇派遣で派遣社員が契約解除された場合に、派遣会社が新たな派遣先を見つけるよう定められました。

さらに、派遣先企業に対しても、派遣社員からの苦情には誠実かつ主体的に対応するように義務を強化しています。

義務の強化だけでなく、派遣会社に対しては、e-文書法の改正に基づいて労働者派遣契約書のデジタル作成も許可されました。労働者派遣契約書は、もともと書面での作成のみ許可されており、書類作成や契約更新時の手段が緩和されたとも考えられます。このように、2021年の改正ではデジタル化についても焦点が当てられました。

まとめ

労働者派遣法は、派遣労働者の雇用条件や労働環境を保護するための重要な法律です。記事では、労働者派遣法の基本的な仕組みから、2020年と2021年の法改正のポイントまでを詳しく説明しました。これらの改正は、派遣労働者の安定した雇用環境の確保や、労働市場の健全な運営を目指したものです。

労働者派遣法の理解は、派遣労働者として働く方だけでなく、企業側にも必要です。今後も法改正が行われる可能性があるため、引き続き情報のアップデートが求められます。この記事がその一助となれば幸いです。