ヘッドハンティングとは?引き抜きとの違い種類・採用フローも解説!
人材確保の方法はさまざまで、求人に応募してきた人の中から人材を選ぶ方法以外に、企業側が人材を探し声をかける方法もあります。ヘッドハンティングでは優秀な人材を確保できることから、採用手段の1つとして取り入れたいと考える企業は多いでしょう。
当記事では、ヘッドハンティングの定義と種類、メリット・デメリット、採用フローを徹底解説します。ヘッドハンティングと似た用語の引き抜きとの違いも説明するので、自社に合った人材・優秀な人材を確保しやすい企業の人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.ヘッドハンティングとは?
ヘッドハンティングとは、外部で働いている優秀な人材を、他社などから自社に引き入れる採用手法のことです。特に経営幹部や幹部候補、管理職など、転職市場で採用が難しい人材に対して行われます。
ヘッドハンティングは、かつては外資系企業などに限定して行われる人材獲得の手法でした。しかし、人材の流動化の加速や企業の国際化に伴い、現在ではヘッドハンティングは人事戦略の一環として一般化しています。
1-1.ヘッドハンティングと引き抜きの違い
ヘッドハンティングと似た転職用語に「引き抜き」があります。ヘッドハンティングと引き抜きとの違いは、自社に引き入れる転職者に役職があるかどうかです。
ヘッドハンティングの「ヘッド」は「頭」や「頭脳」を指しています。つまりヘッドハンティングは、企業のトップや頭脳を担う、役職付きの人材を自社に引き入れるという行為です。
一方、引き抜きは「優秀な人材をスカウトする」という意味の言葉であり、対象となる人が役職者かどうかは重視していません。
2.ヘッドハンティングの種類
ヘッドハンティングには、主にサーチ型・マッチング型・進化型の3種類あります。ここでは、ヘッドハンティングの種類ごとの特徴や違いについて紹介します。
サーチ型 |
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サーチ型は、経営者層や幹部層など、企業のトップとなる人材をターゲットとした手法です。独自のネットワークを全方向に広げ、転職希望者にこだわらず、自社が希望する人材要件に該当する人材を探します。 サーチ型は、さらに3つのタイプに分けられます。 ・フルサーチ 業界や職種を問わず、自社が求める人材を探し出してヘッドハンティングする手法です。 ・エグゼクティブサーチ 経営者層や幹部層などのエグゼクティブ層から自社が求める人材を探し出す手法です。「欧米型」とも呼ばれています。 ・業界特化型サーチ IT業界、医療業界、広告業界など、特定の業界を対象に人材を探す手法です。 |
マッチング型 |
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マッチング型では、人材エージェントや求人媒体への登録者の中から、自社が希望する人材要件にマッチする人材を探し出します。転職希望者が人材エージェントなどのデータベースに登録するため、「登録型」とも呼ばれています。 |
進化型 |
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進化型は、サーチ型とマッチング型を掛け合わせた手法です。人材エージェントなどのデータベースと自社独自のネットワークの両方を活用し、人材を探します。 |
3.ヘッドハンティングのメリット・デメリット
ヘッドハンティングは、トップ層やミドル層を担う人材が必要な企業にとってはさまざまなメリットがある採用手法です。代表的なメリットとしては、転職サイトなどの通常の転職市場では出会えない人材を見つけられたり、採用活動を内々で進められたりといったことが挙げられます。
しかし、ヘッドハンティングを有効に活用するためには、メリットだけではなくデメリットも知っておくことも必要です。ここからは、ヘッドハンティングで人材発掘・人材確保する際のメリットとデメリットについて、詳しく解説します。
3-1.メリット
ヘッドハンティングには、主に以下のようなメリットがあります。
企業が求める人物像に合った人材を採用できる |
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経営者層や大きなプロジェクトの責任者を採用したい場合、採用に失敗すれば大きな痛手となりかねません。しかし、ヘッドハンティングであれば、理想的な人材を探し出して直接アプローチできるため、企業が求める人物像に合った人材を採用できる可能性が高くなります。 |
優秀な人材を採用しやすい |
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求人広告を出して採用活動をする場合、企業側が求める水準以上の応募者となかなか出会えないことも多くあります。しかし、ヘッドハンティングはあらかじめ求める人材を決めて対象者を探すため、優秀な人材に直接スカウトすることが可能です。 |
通常の転職市場では出会えない人材を見つけられる |
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ヘッドハンティングの対象となるのは転職活動をしている人だけではありません。現在就業中の人材も広く対象となるため、通常の転職市場では出会えない人材を見つけられる可能性が高くなります。 |
採用活動を内々で進められる |
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経営層や幹部層を採用したい場合、採用活動をしていることを周囲に知られたくないケースもあるでしょう。ヘッドハンティングでは求人情報が公にならないため、採用活動を内々で進められるメリットがあります。 |
3-2.デメリット
ヘッドハンティングの主なデメリットは以下の通りです。
コストがかかる |
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ヘッドハンティングは、情報収集から対象者へのアプローチ、採用に至るまでにコストがかかります。ヘッドハンティング会社などに依頼する場合は、さらに成果報酬や着手金がかかるため、採用コストが高くなってしまう点が大きなデメリットです。 |
短期採用は難しい |
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ヘッドハンティングでは、転職希望者だけではなく、現在就業中の人材も対象とします。特に就業中の人材をスカウトした場合、アプローチをしてから実際に採用するまでに時間がかかる点には注意しなければなりません。 ヘッドハンティングで採用にかかる時間は、平均的に半年ほどと言われています。長ければ年単位を要する場合もあるため、短期採用は難しい手法です。 |
ヘッドハンティングは、人材採用までに時間もコストもかかります。そのため、すぐに人材を確保したい場合や、一度に複数の人材を採用したい企業などは、ヘッドハンティングに向いていないと言えるでしょう。
4.ヘッドハンティングの採用フローと注意点
ヘッドハンティングの方法は、2つのパターンに分けられます。自社で行うか、専門会社に依頼するかの2パターンです。それぞれのパターンで採用フローが異なります。
ここからは、ヘッドハンティングの具体的な採用フローと注意点について、詳細に解説します。
4-1.自社でスカウトする場合
自社でヘッドハンティングを行う場合、企業と対象者との直接的なやり取りになるため、採用フローは比較的シンプルです。
1 | 情報収集する |
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自社が希望する人材像に該当する人材がいないか、メディアやSNSなどを活用して情報収集します。業種によっては新聞やニュース、論文なども活用するとよいでしょう。 | |
2 | 採用候補者について調べる |
採用候補者を見つけたら、候補者の経歴や経験、現在の業務内容などを調査します。 | |
3 | スカウトする |
メールや電話、手紙などを用いて採用候補者をスカウトします。一度だけでは相手にされないことが多いため、何度かアタックしたほうがよい場合もあります。 | |
4 | 採用する |
入社条件などを交渉し、合意が成立すれば採用になります。 |
自社でスカウトする場合は、外部に依頼する場合に比べて費用を大きく抑えられる点が魅力です。しかし、採用候補者へのこまめな連絡やフォローなど、手間や労力がかかる点には気を付ける必要があります。
4-2.外部に依頼する場合
外部に依頼する場合の採用フローは、以下の通りです。
1 | 要件を確認する |
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ヘッドハンティング会社に、自社が求める人材のキャリアや能力などを伝えます。 | |
2 | 採用候補となる人材を探す |
ヘッドハンティング会社が、独自のノウハウを駆使して採用候補者を探します。この際、転職希望者以外も含めてサーチしてもらえる点が魅力です。 | |
3 | 人材を調査する |
ヘッドハンティング会社から候補者にアプローチし、候補者から本音を引き出して調査します。 | |
4 | 採用候補者と面談をする |
ヘッドハンティング会社が企業に候補者を紹介してくれるため、企業と採用候補者とで直接面談をしましょう。 | |
5 | スカウトする |
ヘッドハンティング会社と企業とで情報を共有しながら、希望に沿う候補者の場合はスカウトします。 | |
6 | 採用する |
入社条件などを交渉し、合意が成立すれば採用になります。 |
外部に依頼する場合は、自社でスカウトする場合に比べて社内の労力が大幅に抑えられるのがポイントです。ただし、その分契約金や成功報酬が高額となるケースが多い点には注意しましょう。
まとめ
ヘッドハンティングとは、他の企業に勤める優秀な人材を自社に引き入れることで、役職者以外も対象となる引き抜きとは異なります。ヘッドハンティングにはサーチ型・マッチング型・進化型の3種類があり、それぞれ人材の探し方が違うので自社に合った方法を選択しましょう。
ヘッドハンティングは企業が理想とする人材を引き入れられる一方で、採用までの期間・費用がかかる面もあります。自社にメリットがあるかをよく検討した上で決めましょう。
ヘッドハンティングは自社または外部に依頼して行います。それぞれ採用フローに違いがあるため、あらかじめ流れを理解しておくとスムーズにヘッドハンティングを進められます。