ニューノーマルとは?生活・働き方の変化と企業が取り組むべき課題
ニューノーマルに適応することは、企業が事業を発展させる上で重要なことです。日々変わりゆく市場事情や人々の考えに注目し、ニューノーマルに合った働き方を取り入れるには、さまざまな課題があります。
今回は、ニューノーマルとはどのような意味をもつのか、近年のニューノーマルによる変化や企業がニューノーマルに適応する上での課題について解説します。企業の利益につなげるためにも、自社の課題を洗い出し、改善に向けた取り組みを行いましょう。
目次
1.ニューノーマルとは?
ニューノーマルとは、「New(新しい)」と「Normal(常態)」とを組み合わせた言葉で、新しい常態や常識という意味で使われます。大きな社会の変化によってこれまでの常識が通用しなくなると、変化に合わせてさまざまな新しい常態や常識が生まれます。
これまでにもニューノーマルと呼ばれるタイミングは何度かありました。1度目は1990年代のインターネット社会の到来です。現在では当たり前になっているメールや携帯電話が新しい技術として普及したことで、社会は大きく変化しました。
2度目は2008年の「リーマン・ショック」です。世界的な金融危機に陥ったこの年、たとえ景気が回復したとしても以前の状態に戻ることは二度とないとして、アメリカのエコノミストであるモハメド・エラリアン氏がニューノーマルの考え方を提唱しました。
現在、新型コロナウィルス感染症の影響で日本を含め、社会は3度目のニューノーマルのタイミングを迎えていると言えるでしょう。
2.ニューノーマルによる3つの変化
新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、生活の中に起こった変化は大きくわけて3つあります。1つ目は生活様式、2つ目はビジネス、3つ目は働き方です。企業は、身近に起こったこれらの変化に適応していかなくてはなりません。
ここでは、ニューノーマルによるそれぞれの変化ついて、具体的に説明します。
2-1.生活様式の変化
生活様式におけるニューノーマルは、下記の3点です。
- マスクの着用
- ソーシャルディスタンス
- 不要不急の外出を控える
これらは、新型コロナウィルス感染症の蔓延への対策として求められてきました。マスク着用や適切な距離の確保などは数年が経過した現在でも、形を変えながら定着しているニューノーマルです。
他にも、非接触型のサービスが増えたことで、買い物時のキャッシュレス決済や、ECサイトでの商品購入が主流となりつつあります。これを受け、ビジネス面では国内の電子商取引市場規模がBtoB、BtoCともに増加傾向です。
2-2.ビジネスの変化
ビジネス分野のニューノーマルは下記の3つです。
- 拠点やオフィスが不要
- DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速
- 非対面チャネルの強化
拠点やオフィスが不要になることは、賃料などの面で大きなメリットがあります。コストを削減できれば、そのぶん従業員への教育や商品・サービスの開発の資金が増え、企業の成長を促せるでしょう。
一方で、DXの加速や非対面で顧客とやり取りできるチャネルの強化が求められます。事業内容に応じてAIやIoT(アイオーティー)、ビッグデータなどのデジタル技術を用いた業務フローの改善やビジネスモデルの創出はもちろんのこと、過去の技術や仕組みの改新や企業全体の変革が必要です。
また、オンラインでの問い合わせ対応やチャットボットの活用、ECサイトやアプリの導入や強化など、競合との差別化および競争優位性を維持し続けることが重要になります。
2-3.働き方の変化
働き方のニューノーマルは下記の3点です。
- リモートワークが主流
- オンラインでの営業活動
- 成果主義
リモートワークや在宅勤務が主流になったことで、従業員に支払う通勤や営業時に必要な交通費が削減できるのは、企業として大きなメリットです。
また、ビジネスシーンにおける営業活動や商談がオンライン化されることで、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理ツール)も活発化しています。遠方企業とも取引しやすくなり、全国の営業人材を使える点もメリットとなるでしょう。
ただし、オフィス以外での勤務にはPCの支給やセキュリティの確保などの準備が必要です。さらに、評価制度を人事評価から成果評価にならざるを得ない状況など、新たに生まれた課題もあります。
3.ニューノーマルな働き方のリスク|企業が取り組むべき課題
ニューノーマルな働き方は、一見メリットが多いように見えますが、実は対策をとるべきリスクも多いです。また、労務管理や勤怠管理、人事評価などの企業ルールや制度の見直し、セキュリティ教育と対策など、企業が取り組むべき課題も多数あります。
ここでは、企業が取り組むべき課題について解説します。
3-1.セキュリティ対策と知識・意識の向上
社外での業務が増えると、セキュリティの面でリスクが高まります。リモートワークを主流にする場合、これまで以上のセキュリティ対策が必須です。
具体的には、情報の漏洩やウイルス、サイバー攻撃、無線通信の傍受など、さまざまなリスクに対してシステム上の備えを万全にします。従業員のセキュリティリスクに対する知識や意識を向上させ、協力を仰ぐことも重要です。
また、オンラインミーティングを活用して、定期的に従業員全員に情報セキュリティ教育を行うのも効果的です。データの紛失や情報漏洩が起こった場合の対応マニュアルや資料をあらかじめ作成して共有するなど、従業員が社外で業務にあたるリスクへの知識と意識の向上を図りましょう。
3-2.コミュニケーションツールの導入
コミュニケーションツールは、複数導入しておくのがおすすめです。リモートワークが主流になると、従業員同士のコミュニケーション頻度が著しく低下します。特にチームで業務にあたる場合、コミュニケーションや情報共有の不足が業務遂行の妨げになることもあります。
仕事の内容にもよりますが、基本的には積極的なコミュニケーションが重要です。テキストでのやりとりだけではなく、定期的なオンラインミーティングを開くなどの対策をとるとよいでしょう。その際、コミュニケーションツールをいくつか導入しておけば、それぞれのチームで使いやすく負担の少ないものを選んで使用できます。
3-3.従業員のモチベーション管理
リモートワークでは、通勤方法や勤務時間については従業員自身で管理する必要があります。一方で、企業側は従業員のモチベーション管理が課題となります。
以前は、出社して周りと関わりながら業務を行っていたのに対し、リモートワークは一人で業務を行うため孤独になりがちです。そのため、従業員は不安を感じやすく、ストレスを受けるとやる気やモチベーションが下がる傾向にあります。モチベーションの低下は生産性や効率の面にも影響します。
リモートワークは、目標や評価が曖昧になりやすいことが原因で、従業員がモチベーションを維持できないケースが多いです。上司からの積極的な働きかけやフォローは必要不可欠と言えます。
上司は従業員との面談の機会を設け、従業員の能力の把握に努めましょう。管理職は、モチベーションマネジメントスキルや、コミュニケーションスキルを向上させ、従業員を適切に評価することが大切です。
まとめ
ニューノーマルは、今後も繰り返される可能性が十分あります。企業は、ニューノーマルに素早く適応できるよう、常に新しい時代を見据えて改新していくことが必要です。問題や課題は常に付きまといますが、従来の方法やシステムに満足することなくニューノーマルを受け入れ、変化する時代に生き残る方法を模索しましょう。
ニューノーマルは、ビジネスや働き方に限った話ではありません。生活様式においても変化があり、中には企業側の協力が不可欠な場合もあります。従業員の満足度が向上すると、モチベーションが高まり生産性も上がります。現場での好感が高まれば求職者へのアピールポイントにもなるため、企業の成長において、現場の声に寄り添うことは大切です。