【人事担当者必見】採用計画の立て方と確認するべき3つのポイント
人事担当者にとって、採用活動は重要な仕事の1つです。しかし、昨今の日本は少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が著しく、優秀な人材の確保が難しい状況にあります。
そこで重要となるのが、採用活動を行う指標となる「採用計画の立案」です。人事担当者として従業員の採用活動に関わるのであれば、「採用計画とは何なのか」「何を参考にしてどのように立てるのか」を把握しておきましょう。
当記事では、採用計画の概要と重要性を紹介した上で、実際に計画を立案する際のポイントと、具体的な立て方の手順をステップ別に解説します。
目次
1.採用計画とは?
採用計画とは「人材の採用についての指標となる計画」のことです。具体的には下記のような内容を考慮し、計画を立てます。
- いつ
- どの部署に
- 何人
- どのような人材を
- どのような方法で
適切な採用計画に則った採用活動を行えば、効率的な採用が可能となるでしょう。
1-1.採用計画を立てる重要性
急速に少子高齢化が進んでいる日本では、15歳以上65歳未満の生産年齢人口が減少を続けています。
少子高齢化の影響で労働力の供給には限界が生じ、採用市場を取り巻く環境は年々厳しくなっています。
出典:内閣府「第1部 少子化対策の現状(第1章 1): 子ども・子育て本部 – 内閣府」
また、求職者が希望する業界の規模や業種には偏りがちです。例えば、中小企業や医療・介護、建設業界では人材不足が顕著です。
企業の規模や募集職種によって人材獲得の二極化が進んでいます。
内閣府「第2章 第1節 多様な働き方の進展と柔軟な労働市場の実現に向けた課題 – 内閣府」
現状を考慮すると、ただ漫然と採用活動をしていても、優秀な人材の確保は困難です。そこで必要となるのが、具体的なポイントを押さえ、自社のニーズに特化した採用計画の立案です。
2.採用計画を立てる際に確認するべきポイント3選
具体性のある採用計画を効率よく立てるためには、事前に確認しておくと有用な事項が複数あります。ここでは、採用計画を立てる際に確認しておきたいポイントを、下記の3点に分けて紹介します。
- 自社の事業戦略・事業計画
- 求職者の動向
- 競合他社の採用状況
2-1.自社の事業戦略・事業計画
まずは、自社の事業戦略や事業計画を確認しましょう。採用活動による優秀な人材の採用は、企業の事業目標を達成するための事業戦略の1つです。そのため、事業戦略や計画の見直しが役立ちます。
具体的には、自社の目指す目標をクリアするために「いつまでに」「どの部署に」「何人」「どのような人材」が必要なのか考え、採用計画を立てます。自社の目指す方向性を把握しないまま採用活動を行うと、人材とのミスマッチを起こしかねません。
2-2.求職者の動向
次に、採用市場における求職者の動向を確認します。採用市場は経済状況や景気動向によって常に変動を続けているため、現状を把握した上で採用計画を練りましょう。
分かりやすい目安として、厚生労働省が毎月の求人倍率などの指標をとりまとめている「一般職業紹介状況」があります。
産業別・地域別のデータも公開されており、自社を取り巻く採用市場の状況を確認できます。
出典:政府統計の総合窓口「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」
出典:厚生労働省:「一般職業紹介状況(令和3年9月分)について」
民間の研究調査機関が公表している「最新労働市場データ」や「求職者の動向・意識調査」も有用です。
出典:JBRC ジョブズリサーチセンター「最新労働市場データ(各種調査)」
出典:JBRC ジョブズリサーチセンター「求職者の動向・意識調査2019 基本報告書」
これらの情報をヒントに、採用のスケジュールや募集要項などの検討を進めましょう。
2-3.競合他社の採用状況
最後に、競合他社の採用状況を確認しましょう。具体的な競合他社を想定し、採用状況を把握することは、採用計画を立てる際の参考になります。他社との差別化を図るという意味でも有効です。
しかし、採用市場では必ずしも同業他社が競合となるとは限りません。業種よりも仕事内容や勤務地、待遇などの勤務条件を重視する求職者が少なくないためです。競合他社を見つけるためには、内定者や新入社員、応募者に併願状況をヒアリングしたり、企業の口コミサイトを参考にしたりして、情報収集しましょう。
3.【STEP別】採用計画の立て方
採用計画を立てる準備が整ったら、実際に採用計画の立案に入りましょう。具体性のある採用計画を立てるためには、さまざまな点を考慮して考える必要があります。
そこで今回は、採用計画の立案を下記の5つのステップに分けて解説します。
- 【STEP1】採用する目的の明確化
- 【STEP2】求める人物像のペルソナ設定
- 【STEP3】選考基準(評価方法)と選考方法の決定
- 【STEP4】採用スケジュールの立案
- 【STEP5】募集媒体やツールの決定
3-1.【STEP1】採用する目的の明確化
まずは「なぜ・何のために」採用活動を行うのか、採用の目的を明確化しましょう。採用する目的をはっきりさせることで、採用の必要性について採用側で共通の認識ができます。
欠員補充による採用などの場合、採用活動は目先の目的にとらわれがちです。しかし、採用活動では中長期的なニーズの把握も欠かせません。会社の事業計画や経営方針を踏まえ、将来的にどのような組織づくりを目指すかを意識しましょう。
採用直後だけでなく、5年先・10年先の組織の在り方を見据えることで、組織全体の年齢やスキルのバランスが整い、組織の強化につながります。
3-2.【STEP2】求める人物像のペルソナ設定
求める人物像を明確にしなければ、社内での意思疎通が取れず、採用活動はスムーズに進みません。人事部を中心に経営層や配属先の現場社員の意見を擦り合わせ、採用したい人物像のペルソナ設定を行いましょう。
具体的には、以下の3つの要素を押さえます。
●自社との適合性
性格や気質、価値観などが、自社のビジョンと合っているか
●能力
学力や発想力、コミュニケーション能力などが、採用予定の部署や職種に合っているか
●経験や保有スキル
学生時代の専攻や前職での実績、専門技術や保有資格などが、採用ニーズと合っているか
3-3.【STEP3】選考基準(評価方法)と選考方法の決定
次に、具体的な選考基準(評価方法)と、それを判断するための選考方法を決めていきます。
選考基準は、求める人物像をヒントに、あらかじめ合格ラインを設定しておきましょう。これまでの経験や保有スキルは、履歴書やエントリーシートなどの書類選考で確認できます。学力や知識、適正などは、SPIや適性検査による筆記試験の数値で測れます。
人となりや価値観といった人物像は、面接での対話を通して判断しましょう。面接官によって選考基準が異なると、ミスマッチのリスクが高まります。選考基準を元に面接チェックシートを作成したり、選考者で面接のシミュレーションをしたりといった、入念な準備が必要です。
3-4.【STEP4】採用スケジュールの立案
近年の採用活動の動向として、新卒・中途入社を問わず、募集から採用までの期間が短くなってきています。この傾向を踏まえ、企業側はスピーディーな対応で優秀な人材を取り逃がさないようにしなくてはなりません。
採用スケジュールを立てる上で、まずは自社の入社希望時期と採用人数を決めましょう。過去の採用活動における、応募数や各選考の通過率、内定者数と実際の入社人数を参考にすれば、いつまでに選考を終え、内定通知を出す必要があるのか逆算できます。
3-5.【STEP5】募集媒体やツールの決定
最近ではインターネットを利用した採用活動がスタンダードとなり、さまざまな募集媒体やツールの利用が可能です。新卒者か転職希望者かによって、求職者が利用する媒体やツールは異なりますが、共通して下記のようなものが考えられます。
- 企業サイト(採用サイト)
- SNSアカウント
- 求人媒体(就職サイト、転職サイト、求人サイト、求人広告)
- 採用イベント(合同企業説明会、就職・転職フェア)
- ハローワーク
自社の採用ニーズを踏まえ、ターゲット層がどのような方法で就職活動をするか予測した上で、媒体やツールを比較検討しましょう。
4.採用計画は定期的な見直しが必要
採用計画は一度立てたからといって、ずっと使えるものではありません。3か月〜半年といったスパンでの見直しがマストです。
理由として、採用市場の状況や求職者の動向、業界のトレンドは常に変動し続けることが挙げられます。時勢に合った採用計画を立案すれば、採用活動が成功する可能性が上がります。
また、前回の採用活動の失敗や反省を生かすことも大切です。もしも応募が少なかったり、内定辞退が多かったりした場合、採用計画に原因があるかもしれません。採用計画に問題がある場合は、採用活動を行う時期やスケジュール、選考方法や募集条件などアプローチの手法を見直しましょう。
まとめ
近年の採用市場において、自社の採用ニーズに合った人材を獲得するためには、採用計画の立案が欠かせません。自社の事業戦略や事業計画を元に、求職者の動向や競合他社の採用状況を探り、立案の準備を進めましょう。
実際に採用計画を立てる際は、まず採用目的や求める人物像を明確化し、次に具体的な選考基準・選考方法とスケジュールを決め、募集媒体やツールを検討するとスムーズです。
もし採用計画を立てて採用活動に取り組んでも、思ったような成果が得られない場合は、人材紹介サービスの活用を検討してみてはいかがでしょうか。パワーキャストグループでは、企業様のニーズに合った人材を派遣するサービスを提供しております。