人手不足が深刻化する理由とは?業界別の理由・今後の動向も
人手不足は、多くの企業が抱える悩みのひとつです。少子高齢化が進む昨今では、市場全体の労働人口が減少しており、人手を確保することが年々難しくなっています。
求人を掲載する・さまざまな雇用形態を受け入れるなど、人手を確保する取り組みをしているものの、人手不足を解決できていない企業は多いでしょう。
この記事では、人手不足が年々深刻化する理由から業界別の動向、人手不足を解消する方法までを解説します。
目次
1.人手不足が深刻化する理由
日本における企業の人手不足は、特定の業界だけでなくどの業界においても問題となっています。人手不足を解消するためには、人手不足が起きている社会的な背景を知ることが重要です。
ここからは、人手不足が深刻化する理由について、労働者数や定着率などに焦点を当てて紹介します。
1-1.非正規雇用労働者の割合が高まっているため
企業が人手不足に陥る原因のひとつとして、非正規雇用労働者の割合が年々高まっていることが挙げられます。厚生労働省が調査した、フルタイム労働者数と非正規雇用者数の推移は下記の通りです。
平成元年 全労働者数 4,269万人 フルタイム労働者数 3,452万人
(80.9%)非正規雇用労働者数 817万人
(19.1%)
平成19年 全労働者数 5,185万人 フルタイム労働者数 3,449万人
(66.5%)非正規雇用労働者数 1,735万人
(33.5%)
平成24年 全労働者数 5,161万人 フルタイム労働者数 3,345万人
(64.8%)非正規雇用労働者数 1,816万人
(35.2%)
平成29年 全労働者数 5,460万人 フルタイム労働者数 3,423万人
(62.7%)非正規雇用労働者数 2,036万人
(37.3%)
一見すると、全体の労働者が増えており、人手不足には陥っていないように見えます。しかし、フルタイム労働者数が横ばいである一方で、非正規雇用労働者数は増加傾向です。平成元年と比べると、非正規雇用労働者の割合は約2倍となっています。
非正規雇用労働者が増えている要因のひとつが、共働きの増加です。実際に、共働き世帯の数は平成元年に783万世帯だったものの、令和2年には1,240万世帯に増えています。子育てや介護を仕事と両立させなければならないケースが多く、パート・アルバイトなどの非正規雇用として働く人が増加しました。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「専業主婦世帯と共働き世帯」
非正規雇用労働者は、短時間・曜日指定などで働くことがほとんどです。そのため、非正規雇用労働者が増加しても根本的な人手不足解消にはつながらないケースが多いと言えます。
1-2.人を雇っても定着率が悪いため
一時的に雇用を増やしても、長期的に就業してくれなければ人手不足解消になりません。現在はほとんどの業界・企業が人手不足であり、一部の社員に業務が偏る状況が続いています。
業務過多によって負担が重くなった社員は、ストレスを抱えて仕事が辛くなり、最終的には離職を考えるようになります。近年は終身雇用制度や年功序列制度を見直し、成果主義とする企業が徐々に増えていることから、以前よりも転職しやすい状況です。スキルや能力のある人材が、キャリアアップを視野に入れて転職を繰り返すケースも少なくありません。
実際に、平成22年以降は転職者数が年々増加し続けており、令和元年には351万人を記録しています。55歳以上の転職も増えており、労働市場において幅広い層が流動している現状です。
出典:総務省統計局「増加傾向が続く転職者の状況~2019年の転職者数は過去最多~」
人材定着を図るためには、「人手不足→一部の人に業務が偏る→仕事が辛くなる→離職」のスパイラルを止める必要があります。
1-3.売り上げが伸びず人を雇えないため
人手不足に陥る要因として、売り上げが低迷していることもひとつです。売り上げが少ないと採用活動に回せる資金が準備できず、人材を確保するための工夫ができません。
近年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、売り上げが下がった企業がほとんどです。そのため、経営の低迷によって人を雇えない企業が増えています。実際に、独立行政法人労務政策研究・研修機構が実施した調査では、新型コロナウイルスの影響により多くの業種の売り上げが下がっています。特に、初めて緊急事態宣言が出された4~6月は、前年と比較して20%近く売り上げが落ち込んだ業種が少なくありません。
出典:独立行政法人労務政策研究・研修機構「新型コロナウイルス感染症関連情報:新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響国内統計:売上高、営業利益、経常利益、設備投資」
もともと採用活動に充てられる資金が少なかった中小企業では、採用コストの面で悩んでいるケースが多いでしょう。人材確保のためには、売り上げが低迷している中でも効果的な採用を行えるよう、採用活動を効率化する必要があります。
2.【業界別】人手不足の理由と今後の動向
人手不足が特に深刻な企業では、倒産に陥る可能性が高くなります。日本の中で特に人手不足が進んでいる業界は、「製造業界」と「物流業界」です。
ここからは、製造業界と物流業界が人手不足になりやすい理由と、今後人手不足の状況がどのように変化するのかを解説します。
2-1.製造業界
製造業界は、専門的なスキルが必要なことから、多くの技術者によって支えられている業界です。ベテラン層の技術者が引退する中で、専門性の高い技術者が育たないことが影響し、人手不足に悩まされています。また、企業が有する独自の技術を若手社員に継承できないことで廃業するケースも少なくありません。
製造業界の人手不足は、今後さらに進行すると見込まれています。少子高齢化の現状を考えると、人手不足の根本的な問題となっている「技術者不足」は、今後も進行を続けると推察されるためです。
一般的に、製造業界では現場で技術を磨きながら長い時間をかけて人材育成を進めます。人材が活発に流動する現代において、育成に長い時間をかけても一人前になるまでに離職するケースは多く、従来の育成方法で人材の定着を図ることは困難です。
2-2.物流業界
物流業界が人手不足に悩まされている原因は、物流の需要が高まっていることが挙げられます。近年はITが発展したことで、ネットショップを利用したサービス展開・業務効率化が進みました。一方で、少子高齢化により労働力不足は進んでいるため、高まる需要に対応するだけの人手を物流業界では確保できずにいます。
したがって、物流業界の人手不足はますます進んでいくでしょう。政府はDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していることから、デジタル技術が活用される場面は増え続けます。デジタル技術の活用が進むことで、物流業界の需要は今後も高まると見込まれます。
しかし、現時点で人手不足に陥っている物流業界が、拡大する需要を満たすだけの人手を確保することは困難です。新型コロナウイルスによって外出する機会が減り、通販利用が増えていることも、物流業界の人手不足に拍車をかけていると考えられます。
3.人手不足を解消するためには?
では、進行する人手不足を解消するための方法はあるのでしょうか。人手不足を解消したいときは、人材派遣の活用がおすすめです。
人材派遣であれば、企業の悩みに応じて即戦力の人材を紹介してくれます。また、採用活動にかけるコストや時間が軽減され、教育体制や労働環境の整備など、離職率を下げる取り組みに時間を割くことが可能です。
大阪府周辺で製造業界・物流業界に特化した人材を求めている企業様は、「パワーキャスト」をぜひご利用ください。パワーキャストには、下記のポイントがあります。
- 希望に合った人材をスピーディーに紹介
- 派遣後も専門スタッフによる現場巡回
- 丁寧なフォローアップ
パワーキャストでは、企業様の悩みや希望を丁寧にヒアリングしたうえで、条件に最適な人材を紹介します。ヒアリングから派遣までが短時間であるため、急な人材の補充にも対応することが可能です。
派遣後には専門スタッフが現場巡回を行い、派遣社員の状況に気を配ります。また、状況に応じてフォローアップも行うため、人材派遣が初めての企業様も安心してご利用いただけます。
まとめ
日本では、どの企業においても人手不足が進行しています。主な理由は、「非正規雇用労働者の割合が高まっている」「定着率が悪い」「売り上げが伸びずに人材を雇えない」の3つです。
特に、製造業界と物流業界は人手不足が深刻となっています。いずれも、人手不足がさらに進むと見込まれており、企業は何らかの対策が必要です。
人手不足を解消する方法ひとつとして、「人材派遣の活用」があります。人材派遣を活用すれば、最適な人材を即戦力として獲得できます。大阪府周辺で製造業界・物流業界に特化した人材派遣会社を探している企業は、「パワーキャスト」へお気軽にご相談ください。